2007年、名古屋市教育委員会(以下、市教委)は10年度を計画最終年度とする4年間の中期計画「なごやっ子教育推進計画」を策定した。それまでは単年度で計画をまとめており、中期計画策定は市教委にとって初の試みだ。
その背景は二つある。一つは、当時の安倍内閣の下、教育改革論議が活発になると共に、地方分権推進の動きが強まったことだ。教育企画室の宮村昌史主事は、「子どもとの距離が一番近い行政機関である市が、教育の責任と権限を持つ姿勢を明確に示すべきだと考えました」と話す。
もう一つは、学校や家庭、地域を取り巻く環境の大きな変化に対して、短期的な視点だけでは対応できないという問題意識だ。同市は、学校選択制を導入していないこともあり、大都市でありながら学校と地域とのつながりが深い。同計画では、家庭や地域の教育力向上を支援し、連携を深めることを打ち出した。 |