地方分権時代の教育行政 愛知県名古屋市
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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すぐ担任を持てる指導力を養成

 中期計画における重要施策の一つは、教師の大量定年退職への対応だ。同市の小・中学校教員数は約9000人。今後、毎年300人前後が定年退職を迎える。指導ノウハウを持つベテラン教師が学校を去り、新任教師が増えるため、指導力の維持・向上が大きな課題となった。
 そこで、08年度から始めたのが「なごや教師養成塾(以下、養成塾)」だ。これは、小学校教師を目指す短大生・大学生・大学院生(注1)を対象に、即戦力となる指導技術を教えるというもの。同市の場合、中学校では、新任教師はすぐに担任を持たずに副担任から始めることもあり、担任を持たない先輩教師から学ぶこともできる。一方、小学校では、新任でも大半の教師が担任を持たなければならず、より即戦力が求められるため、小学校のみとした。教育企画室の井上充夫主任管理主事は、養成塾のねらいをこう話す。
 「新任教師は意欲があってもノウハウがありません。現場は彼らに指導や助言を行う余裕がないほど忙しく、問題に直面したときに1人で悩みがちです。教育委員会として指導力向上を支援することにしました」
 初年度の塾生数は、実習等を行う規模を踏まえ60人余り。08年度の入塾希望者は定員の2倍以上の135人で、7月の試験で選考した(注2)。

注1 2008年度入塾の場合、小学校教諭普通免許状を取得、または2009年度末までに取得見込みであること、並びに2009年度名古屋市公立学校教員採用選考試験において、小学校の教員を第1希望で受験する予定であることが条件
注2 書類選考後、面接と小論文を実施

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