地方分権時代の教育行政 愛知県名古屋市
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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子どもや保護者との接し方を現場で学ぶ

 第1期となる08年度は同年9月から09年6月まで、土曜日に計21回のプログラムが組まれている。午前中は講義や演習が中心で、午後は模擬授業やホームルームなどを行う。講師には校長OBのほか、大手企業の人事担当者らも招き、幅広い視点から指導力を高めていく()。

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 プログラムの特徴は、子どもや保護者とのコミュニケーション能力の育成を重視する点だ。現場をより詳しく知ってもらうため、市内の小学校で子どもと触れ合う「ふれあい体験研修」、中堅教師の授業を見学する「授業力研修」といった研修への参加を、最低10日間義務付ける。
 学校現場で協力してもらう教師には、指導力の高い40歳前後のリーダー層の中から12人を「現場協力教員」として委嘱。塾生5~6人に対して1人の現場協力教員がつき、授業の進め方、保護者との接し方などを直接指導する。学校行事や体験活動にも手伝いをしながら学ぶという形で実際に参加させる。さまざまな指導の場面において現場教師の実践を肌で学び、不明点があればすぐ現場協力教員に質問できる。これらは通常の教育実習では体験しにくく、しかも新任教師が最もつまずきがちな、子どもや保護者との接し方を学ぶ貴重な体験だ。
 卒塾生は、同市の教員採用試験(小学校)において、総合教養・小論文・一次試験の口述が免除されるが、合格は保証されていない。塾生が採用試験に合格し、名古屋市の教員となることが短期的な課題だ。塾生にとっては、学校現場に飛び込むことで、自分に教師の適性があるかを見極めるきっかけにもなる。
 長期的には、卒塾生が教師として採用されたあとを追跡調査し、養成塾の効果を検証していく。
 「塾での体験で、より良い教師になりたいという自覚が高まるでしょう。情熱と使命感を持つ教師を育てたいですね」(井上主任管理主事)


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