大阪府唯一の村である千早赤阪村。村内の幼稚園と小学校がALTを招いて英語活動を始めたのは10年前のことだ。小さな村であるため、仲間うちのコミュニケーションが多くなりがちな子どもに、さまざまな文化に触れるきっかけをつくりたいと考えた。以来、英語活動は村の教育の特色となり、現在、赤阪小学校では、全学年で週1回、ALTを交えた30分の活動を行い、加えて3年生以上は週1回15分の担任のみの活動も行っている。
長年、英語活動を通して子どもの姿を見つめてきた大門賀子(のりこ)先生は、英語活動で子どもを盛り上げるのが上手な教師の共通点に気づいた。それらを整理したのが次の五つだ。これらは教師自身の英語能力とは関係がないという。
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Show(モデルになる)
うまくなくてもよいので、教師自ら積極的に英語を話し、ALTとかかわる姿勢を見せるなど、話者・学習者としてのモデルになる。
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Encourage(励ます)
子どもは英語を話すことへの不安が大きいので、失敗を恐れないように繰り返し励ます。
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Accept(認める)
発話やジェスチャーなど、子どもの表現はまず喜んで受け止める。間違っていた場合は、あとからさりげなく直す。
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Praise(褒める)
少しでも褒められるポイントがあれば、大げさに褒める。
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Appraise(評価する)
学習を正しく評価し、子どもが次の活動に意欲的に取り組めるようにする。
最後の「Appraise」で行う評価は、成績を付けることが目的ではない。大門先生は次のように説明する。
「活動の中心は歌やゲームなどで、英語を楽しむことが目的です。子どもは活動を通じて、英語をもっと『知りたい』『理解したい』といった向上心を持ちます。活動の成果を評価して、そうした気持ちを満たしてあげると、自信や意欲が高まり、英語が更に好きになるのです」
評価は必ずしも教師だけで行う必要はない。大門先生が取り入れる評価方法の一つは「What I can do!」という自己評価カードだ(図1)。例えば、2年生のカードには「あいさつや曜日が言えます」「好きな色を言えます」などの項目が並び、それぞれチェックボックスがある。子ども自身に項目をチェックさせ、達成感を抱かせる。どの学年でも項目のレベルを低めにし、より多くの子どもに自信を付けさせている。
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