HOP! STEP! 小学校英語! 【実践事例】あいづち表現を用いてコミュニケーションの楽しさ、大切さを体験させる
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 2/6 前ページ  次ページ

「聞き上手」にさせ日常生活に必要なかかわり合う力を付ける

 大門先生は、「英語活動は、どの教科にもましてコミュニケーション能力を育てるのに適しています。活動ではその特徴を最大限に引き出せるようにしています」と話す。
 特に心がけているのは、子ども同士の英語による情報交換だ。活動では、友だちの好きな食べ物や色、動物、行きたい国、将来の夢…と、さまざまな質問をし合う。こうした会話を通じ、友だちをより深く理解し、それまで話さなかった友だちとも言葉を交わし、コミュニケーションの楽しさに気づいていく。質問に答えていくうちに、自分自身を表現するのが好きになり、自己肯定感が育まれていく利点もある
 「聞き上手」になることの大切さも指導する。「相手の表現に対して反応しないのは失礼なことなんだよ」と繰り返し伝え、初めは Me, too. I see.といった簡単な言葉を教える。それらに慣れてきたら、「コメントワードシート」という約20種類のあいづち表現をイラストと共にまとめたシート(図2)を使って指導する。子ども一人ひとりに配り、教室にも掲示して、積極的に使うように呼びかける。

図2

 「だれかが発表しても、まわりが単に拍手をするだけなら、活動は盛り上がりません。“Good Job!” “Super!” など称賛や励ましの言葉をかけることによって、クラスに温かい雰囲気が生まれ、子どもは積極的に英語を話そうとします」(大門先生)
 シートには“Fantastic!” “Wonderful!”といった難しい単語も含まれているが、会話の中で自然に使うことによって無理なく覚えることができる。このシートを活用することによって、子どもの英語表現は飛躍的に豊かになるという。
 ほかにも、「相手の目を見て話す」「うなずきながら聞く」「身振り手振りを使う」「話す速度や声の大きさを考える」といった、コミュニケーションの基本も繰り返し指導する
「これらはすべて日本語の会話でも大切なことです。英語活動を通して身に付いたコミュニケーションの基本は、他教科や日常生活にもよい影響をもたらします」(大門先生)
 同校の英語活動は、子どもの不安を取り除き、英語が好きになる指導に徹している。低学年では、一切文字を教えず、歌やゲームなどを通したヒアリングを重視する。中学年になると、アルファベットに多少親しませるが、教師の発話を繰り返すといった英語を「真似る」活動が中心だ。こうしてアルファベットに対する好奇心を高めていき、高学年で徐々に文字を教える。更に、「自分の思いを伝える」活動も増やしていく。例えば、“How are you?” への返答として “I'm fine.” という決まり文句だけでなく、 “I'm hungry”. “I'm happy.” と気持ちを自由に表現するように指導する。
  こうした活動を通し、同校では英語の学習を生涯に渡って続けられる意欲を育みたいと考えている。
 「中学校で英語のテストや勉強で苦労しても、英語を嫌いにならず、『もっと頑張ってみよう』と思えることが学習を続ける上で大切です。その土台づくりが小学校の英語活動の役割の一つだと思います」(大門先生)


   PAGE 2/6 前ページ  次ページ