仙台市教育委員会(以下、市教委)は、学校教育の重点施策や指導の重点をまとめた「杜の都の学校教育」を毎年策定し、公立学校の教師全員に配付している。2008年度版では「健やかな心と体の育成」「確かな学力の向上」「自分づくり教育の推進」を柱に掲げた。学校教育部教育指導課の庄子修課長は三つの柱の意図を次のように話す。
「社会や家庭環境の変化もあり、仙台市でも子どもを学びに向かわせることが課題です。しかし、単に学力向上のみを目指すような施策では不十分。学習の基盤となる『健やかな心と体』、なぜ今、勉強するのかを子どもに考えさせる『自分づくり教育』こそが先決だと考えました」
市教委は「社会を支える25歳を目指して」をスローガンに、小中高12年間のカリキュラムを作成した。市教委がかねてから進めてきた起業教育と文部科学省が進めるキャリア教育を土台に、各学齢で必要な学習内容や学習姿勢を明らかにした。
「教室に『目指す子ども像』を掲げても、『目指す大人像』を示すことがあったでしょうか。25歳は中学卒業後10年目でほとんどの子どもが社会に出ています。この年齢を共通の目安として自立した姿を思い描きながら、社会全体で子どもを育てていこうと考えています」(庄子課長)
小学校段階での施策の一つは、06年度から配付している『家庭学習ノート仙台』だ(図1)。教科書に沿った家庭学習用ワークブックで、学習上つまずきが多い3年生の算数と5年生の国語を作成。主に単元終了時の課題や宿題としての活用を促す。 |