地方分権時代の教育行政 宮城県仙台市
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教科担任制モデル事業で 非常勤教師を加配

 06年度には、市内11の小学校の5、6年生を対象に「基礎教科担任制モデル事業」を始め、各校に1人、市費で非常勤講師を配置した。加配教員は特定教科を指導する「専科教師」ではなく、教師全員で時間をやりくりして、全員が何らかの「教科担任」を担う時間をつくり出すためのものだ。各校の事情に合わせて国語か算数のいずれか、または両教科で教科担任制とする。
 ねらいは三つある。一つは授業の質の向上だ。同じ内容を複数回教えるため、教師自身が反省を踏まえながら授業力を高められる。これにより子どもの学力向上が期待できる。
 二つめは生徒指導の充実だ。複数の教師の目を通して、子どもの良い面や可能性を引き出そうというわけだ。学校教育部教育指導課の堀越清治主幹は、教師の児童理解が進んでいると感じるという。
 「先生からは『学級担任ではなく、学年担任になれた』という言葉をよく耳にします。自分の学級だけでなく、学年の子どもについて職員室で話題に上るようになりました」
 三つめはいわゆる「中1ギャップ」の解消だ。中1生へのアンケートでは、モデル校出身の生徒はそれ以外の生徒に比べてスムーズに中学生活に馴染んでいるとわかった(図2)。
 「本市では毎年学力検査を実施し、施策の成果を検証しています。『全国学力・学習状況調査』の結果なども踏まえながら、より良い教育を模索していきます」(庄子課長)

図2 中1生への教科担任制についてのアンケート結果

図2

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