移行措置対応のポイント 第1回 担任が進める英語活動
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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効果的な指導法

Q7:指導上、気を付けるべきことを教えてください

A7:気を付けて欲しいことは、次の4点です  
  1. すべての活動に目的を設ける
    活動を組み立てる時には、まず「将来の夢を話す」「行きたい外国を伝える」など、目的となる活動を設定します。歌やチャンツは、活動に必要な表現が含まれるものを選びます。特に歌は、メロディーの良さや知名度に引かれて、小学生に難しすぎる歌詞の歌を選ばないよう気を付けたいものです。
     どの要素をどの順序で進めるかは、活動の目的に応じて柔軟に変えましょう。活動パターンにはこだわりすぎず、目的と照らし合わせて活動を進めることが大切です。


  2. 日本語と英語の発音の違いに気付かせる
     外国語の特徴に気付くことは、外国語能力の基本です。子どもが日本語と英語の発音の違いに気付いたならば、「よく聞いていたね」と褒めてください。より注意して聞くようになります。例えば、英語のnurseと日本人が発音する「ナース」は、明らかに違う音です。ALTの発音をしっかり聞かせ、違いに気付かせるようにしましょう。


  3. 「気持ちを込める」ことを意識させる
     日本語で話す時には、状況に応じて声の大きさや抑揚を変えます。英語活動でも同じように、「どのような場面で、どのような目的で、どのような気持ちで」英語を使っているのかを、子どもに意識させましょう。意識するからこそ、豊かなコミュニケーションが生まれるのです。言葉に気持ちを込める活動を取り入れるのもお勧めです(図1(2))。


  4. たっぷり聞かせてから発話させる
     子どもになるべく「失敗」させないようにしてください。失敗を恐れるとカタカナ発音で文章を読み上げることに集中してしまいます。まず十分に聞かせ、「絶対に言える」くらいになってから話をさせてください。その際シャワーのように聞かせても、シャワーのように流れ落ちるだけです。ある程度、意味を理解させておかなければ、頭に残りません。
     聞いた後はたっぷり話すことも重要です。単純な反復練習ではなく、ゲームなどを取り入れると、意欲的に取り組みます(図1(3))。

図1 子どもが楽しく取り組める英語活動の例

(1)自分のお気に入り紹介
 
◎手順
自分が気に入っている物を写した写真を5枚用意する。数人のグループを組んで、1人ずつ“This is a picture of my …”と写真を紹介する
◎ポイント
自分の好きな物だから、皆に伝えたいという気持ちが起こる。逆に、友だちのお気に入りを知りたいという気持ちから、熱心に聞き取ろうとする
(2)成り切りオーディション
 
◎手順
次のような場面を設定し、“Where do you want to go?”というフレーズを場面に合わせて言う。場面に合った言い方が出来るように、皆で挑戦する
【1】道に迷っている低学年の子に「どこに行きたいの?」と話し掛ける
【2】おばあちゃんの誕生日に「どこに行きたい?」と希望を聞く
【3】どこに行きたいのかがはっきりしない人に答えを促す
【4】遊びに行った時「次はどこに行こうか?」と誘う
◎ポイント
場面を想定し、気持ちを込めて話をさせる。教師が「優しい言い方だね」などと褒め、子どもに「会話では気持ちを込めることが大切だ」と気付かせる。このフレーズをチャ ンツのように繰り返しても、それはリズム練習にしかならない
(3)当ててみて~クイズ
 
◎手順
2人1組になり、握手をする。「不思議なケーキ屋さんがあります。ここで売られているケーキに乗っている果物は何でしょうか」と教師が質問。1人がある果物を思い浮かべ、握手をした手から自分が想像した物を相手に伝える。もう1人は3回以内で当てる
A:Is it a lemon? B:No, it isn't a lemon.
A:Is it a strawberry? B:Yes, it is a strawberry.
◎ポイント
同じ問答を繰り返すことにより、自然とフレーズが身に付く。「不思議な」と入れるのは、それによりいろいろな果物を想像するようになるから
図2

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