鹿島市立明倫小学校は2005年度に英語活動を始めた。鹿島市から指定を受け、「総合的な学習の時間」に国際理解教育を取り入れたのがきっかけだ。当時の対象は3年生以上だったが、07年度から2年間、文部科学省の小学校英語活動等国際理解活動拠点校に指定されたのを機に、全学年に活動を広げた。現在は1・2年生10時間、2・3年生20時間、5・6年生35時間の活動を行う。研究主題は「進んで人と関わりコミュニケーションを図ろうとする子どもの育成」。言葉や文化が違う相手とも積極的にかかわり、理解しようとすることへの関心・意欲を育もうとした。
当時から研究主任である小國千百合先生を始めとして、大半の教師が英語活動は未経験だった。
「『自分には無理ではないか』と不安でいっぱいでした。でも、ALTと話すうちに、単語だけでも気持ちは相手に伝わるのだと徐々に実感しました。身ぶり手ぶりを交え、伝えようとする積極的な気持ちが大切なのだと分かったのです」(小國先生)
教師自身の経験を通して、子どもにも同様の体験、すなわち「コミュニケーションの楽しみ」「伝わる喜び」を感じさせることが大切だと気付いた。そして、この喜びを感じさせるための活動づくりが始まった。
まず、全学年で「English Time」を実施した。毎週金曜日の朝の帯時間に15分程度、ゲームや歌、読み聞かせなどを行う。子どもにとっては英語活動への導入となり、担任にとってはクラスルームイングリッシュの実践の場となる。
5・6年生の英語活動では、拠点校指定を受けた2年間に独自の指導案を作成した。特徴は、1コマで完結する活動ではなく、数時間を1組の単元として、一つのテーマで連続性のある活動を展開していること。テーマは、他教科での学びと連携した事柄(国旗なら社会科など)や、校区の中学校の時間割や部活動など、身近な事柄を取り入れている(図1)。
「子どもは、自分になじみのある話題でなければ関心を示しません。活動を単発ではなく単元にしたのは、次の活動へと興味・関心を喚起し、継続させるためです」(小國先生)
活動ではコミュニケーションの意欲を育むため、ALTと子ども、子ども同士で質問やクイズを出し合う活動などに最も多くの時間を充てる。
活動の中心となるのは、「English Time」「英語活動の時間」のいずれも担任だ。「担任は子どもが関心を示しそうなアイデアをたくさん持っています。これはクイズが得意なあの子に当てよう、おとなしい子は積極的に行動する子と同じ班にしようというように、子どもが安心してコミュニケーションできるように配慮もできます」と、小國先生は説明する。
このような実践の結果、ALTに何とか伝えようとしたり、活動後も単元のテーマについて話したりする子どもの姿が見られるようになった。
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