つながる学校と家庭の学び
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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保護者と教師の架け橋に信頼関係にも一役

 理科に限らず、得意分野や専門知識を生かして「サイエンスニュース!」のような情報発信をしたい、と思う先生もいるだろう。しかし、授業や校務に多忙な中で定期的に発行するのは難しいと、思いとどまるかもしれない。
  発刊から9年目を迎えた「サイエンスニュース!」。宇都宮先生は続けるコツを「自分自身が楽しむこと」と話す。
  「『サイエンスニュース!』を書くことは、私自身にとっても得ることが多く、負担には感じていません。むしろ楽しいですね。ニュースを書くためにいろいろな本を読みたい、学びたいと、学ぶ意欲にもなっています」
 続ける上で何よりも励みになっているのは、保護者や子どもからの感想だ。
 「普通、受け持ちの学級以外の保護者と話す機会はなかなか無いものですが、面識のない保護者から『サイエンスニュース!』のあの話は面白かったです、と声を掛けられることが増えました」

子どもの感動への共感が知的好奇心や情操を育む

 「サイエンスニュース!」発行の目的は、前述のように、保護者の理科に対する興味・関心を高めながら、子どもと共通の話題を提供することにある。そこから更に、子どもの学習意欲の向上へと発展させるためには、保護者はどのようにかかわっていけば良いのだろうか。
 「知識を教えることは学校の役割。保護者には、授業や日常の中での子どもの驚きや感動を受け止めて、『すごいね』などと声を掛けることを大切にしていただきたいと思います」(宇都宮先生)  理科は、動植物の観察などを通して「命」に触れる機会の多い教科だ。子どもが命の神秘や不思議に触れた時に何かを感じたら、保護者がそれに共感を示すことが、子どもの知的好奇心や情操を育てると、宇都宮先生は考える。
 「理科に対して社会全体の関心が低下してしまうのは、大きな問題です。理科を通して、子どもにいろいろな感情や実感を伴う経験をさせることが出来るはず。保護者の皆さんには、ぜひそれを支えて欲しいのです。『サイエンスニュース!』を通して、そうしたメッセージを伝えたいと思っています」
 教科の「真価」を再認識してもらうことが、保護者の支援を得るための第一歩となる。宇都宮先生の取り組みは、理科以外の教科でも応用できるはずだ。


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