つながる学校と家庭の学び
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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 授業内容以外にも、四季折々の風物、テレビや新聞で取り上げられた出来事など、理科への関心を高めるようなタイムリーな話題を取り上げる。避難訓練のある時期には地震について解説したり、国語の教材に出てきた動物について紹介したりと、学校行事や他教科に関連する話題も提供してきた(図2)。こうしたテーマを扱うことで、保護者の理科への関心を呼び起こしながら、子どもと共通の話題を提供することがねらいだ。まずは目を通してもらうことが大切と考え、読み物としての面白さを優先して書いている。
  「『サイエンスニュース!』が、自然な親子のコミュニケーションの糸口になって欲しいと考えています。理科の学力を直接的に向上させるというよりは、長い目で見て、将来につながるような形で科学全般への興味を高められれば、と思っています」

図2 「サイエンスニュース!」の話題
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図2 「サイエンスニュース!」の話題

授業に関する話題で子どもの発展的な学びも支援

 「サイエンスニュース!」には、授業から一歩踏み込んだ内容を掲載することもある(前頁:図1)
  例えば、乾電池で電気の働きについて授業で扱った後、それらの仕組みが日常生活でどのように生かされているのかを知ってもらおうと、「テレビやビデオのリモコンは、直列つなぎか並列つなぎか」というクイズを出した。また、国語の説明文で取り上げたアカウミガメの生態や生息地、絶滅危惧種であることを紹介しながら、環境保護について考えようと呼び掛けた。
  こういった「授業+アルファ」の情報を取り上げる際には、子どもの自主学習の手掛かりとなるように、記事を書く際に参考にした科学雑誌や書籍、ウェブサイトなどを明記するようにしている。そこには、子どもの学びを支援したいという思いがある。
  「基本的に大人向けに書いている『サイエンスニュース!』ですが、理科が得意な子どもも楽しみにしてくれています。学校の一斉授業の中ではそうした子どものフォローがなかなか難しいので、『サイエンスニュース!』が発展的な学びの入り口になることを期待しています」
  授業の補完という意味では、星の動きの単元で、保護者に宿題への協力を呼び掛けたこともある。「夜空を見上げよう」という単元に関連し、夜、月の動きを観測するというものだった。
  「月の動きを実感するためには、1時間おきに3回の観測が必要です。ただ、子どもが1人で夜、外に出て観測するのは危ないため、保護者の協力が必要でした」
  紙面で、観測できる期間と観測方法を説明し、以下のような一言を添えた。
  「余程興味があるお子さんや、将来、専門的に勉強するお子さん以外は、4年生のこの機会でなければ月の観測を経験することはまずないでしょう。お子さんに貴重な経験を積ませる意味でも、ぜひご協力ください」
  「教師にとっては何度も教えていることでも、子どもにとっては一生に1度の機会となります。ですから、一つひとつの学びを大事にしたいのです」と言う宇都宮先生の思いを込めた言葉だ。この呼び掛けに多くの保護者が応え、観測に協力してくれたと言う。


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