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担任とALT、おのおのが強みを生かし効果的に連携する |
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同校では、学級担任とALTが、それぞれの持ち味を生かして連携している(図1)。具体的に二つの場面から見てみよう。
まず、授業前には学年ごとに学級担任とALTでミーティングを行う。前時での取り組みを踏まえて、ALTが「自然な英語を使う」という観点から指導案を作成する。担任は子どもの実態から検討し、修正を加えていく。例えば、「新しいキーセンテンスが二つ以上出てくるのは難しいのではないか?」「児童が参加しやすいこちらのゲームに変更した方がいいのではないか?」などをALTに指摘する。担任が授業の流れを事前に把握するという目的に加え、より児童の実態に合った活動にしていく場でもあるのだ(図2)。 |
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次に、授業においては「担任がT1、ALTがT2」という意識を持って進められる。担任は児童の名前や班割り、ゲームの日本語での説明などを担当。湯澤先生は、「普段なかなか発言しない子どもが手を挙げていたら、優先してその子を指名するなどの配慮ができるのは担任だけです」と強調する。子どもが理解していない様子であれば、途中でALTと相談して、レビューの時間を延長するなどの対応を取る場合もある。「担任の目から見て、子どもたちの理解度が足りない場合はALTにできるだけ英語で相談を持ちかけます。これには、子どもたちに『先生も英語を話している』と感じさせる意味もあります。たとえ簡単な言葉でも、担任が頑張っていることが分かれば、子どもたちは励まされるのです」(湯澤先生)。ALTが自然な英語で授業を進行し、担任が児童の理解を深めていく、けやき小学校の連携のカギがここにある。
また足利市では、ALTが給食の時間や昼休みに子どもと一緒に過ごし、掃除も手伝っている。ALTと子どもが親しくなるための市の方針だが、ALTと教師の距離を縮める結果にもつながっている。
「子どもも先生も、私に親しみを感じてくれているのが分かります」とALTのブリジット・ビーバー先生は話す。受け入れられているという実感がやりがいにつながる。
「ALTは『お客さま』ではありません。同じ教師として人間関係を築くことが、連携をスムーズにするポイントだと思います」(湯澤先生)
ALTが生きた英語に触れる機会を提供する。学級担任は、その機会を生かし、目の前の子どもの実態に合わせて、授業をつくっていく。担任ならでは、ALTならではの観点を大切にすることが両者の連携の第一歩といえるのではないだろうか。 |
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