移行措置対応のポイント 第3回 子どもが主体的に考える理科の指導
富山県射水市立放生津小学校

富山県射水市立放生津小学校

◎1873(明治6)年開校。「自らかかわり、共に学び合う子どもの育成―伝え合う力を育てる―」を研究主題に、体験や学び合いなどを重視した教育を展開。学区には史蹟が多く、学習に活用されている。

校長◎素麺(そうめん)一昭先生
児童数◎285人
学級数◎13学級(うち特別支援学級1)
所在地◎〒934-0027 富山県射水市中新湊23-10
TEL◎0766-82-8020
URL◎http://www.
houjoudu-e.imizu.ed.jp/

小谷内寿信

▲射水市立放生津小学校

小谷内寿信

Koyachi Hisanobu
6学年担任

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【実践編】
「事実」と「考え」を大切にした学び合いが一人ひとりの「考察」を深める

富山県 射水(いみず)市立放生津(ほうじょうづ)小学校◎小谷内(こやち)寿信教諭

「矛盾」「ズレ」から思考を動かし学び合いを通して「考察」させる

 「ゲームなどの外から与えられる刺激ではなく、現実の事象に自らがかかわり、考えることが楽しいと感じるようになって欲しい」
 6年生担任の小谷内寿信先生は、理科を通して育てたい子ども像をそう語る。そのため、理科の授業では問題解決の過程を楽しませることに力を注ぐ。
 まず心掛けているのは、子どもが「矛盾」や「ズレ」を感じる場面をつくることだ。矛盾とは、自分の論理で説明できると思っていた現象が、実際には通じなかった現象のこと。矛盾に出合った子どもは「なぜこうなるのか」と疑問に思い、自分の問題として考えるようになるという。ズレとは、他の子どもとの考えの相違だ。友だちの考えを聞いて自分の考えを見直す学び合いの過程を通し、子どもの思考は徐々に深まっていく。問題解決の「考察」に入る前段階として、子ども同士のズレを十分に考えさせ、仮説を立てさせるのだ。
 その上で「考察」の段階で重視するのは、具体的な事象に出合うことだ。参考書やデジタル教材だけではなく、実物を見たり触ったりすることによって、子どもの思考は活発に動き出すと話す。
 「特に、観察や実験の結果として出合う事象は、『事実』として重い意味を持ちます。事実に基づくことで、空想ではなく論理的な思考が出来て、次の仮説や問いが生まれます」
 考察には、他の子どもの存在が不可欠だという。伝え合う過程を通して、自分が分かっていることや分からないことが明確になり、考えが深まっていくからだ。子ども同士の考えの交流を促すため、予想や考察をする際にはイメージ図を使う。漠然としていた考えが明確になり、説明しやすくなるからだ。
 子どもが自分の問題として考えることを大切にする小谷内先生は、授業中、子どもがつぶやくことや予想外の反応をするのを見て、「真剣に考えていることが分かり、うれしかった。私も楽しかったです」と話す。
 次ページからは、「土地のつくりと変化」の授業の様子を紹介する。

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