移行措置対応のポイント 第4回 言語活動を通じてつくる国語の授業
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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2009年度に実践した2年生の単元の流れを紹介

単元「ことば大好き! ことばあそび! ~詩に親しみ、詩になじみ、詩であそぶ~」

(国語14時間、図工1時間、書写1時間)

単元の概要

詩の中でも、ことばあそび(わらべうた、絵かきうた、かぞえうた、早口ことば、あいうえおのうたなど)に親しみ、自分でことばあそびをつくり、グループで協同して作品集(アンソロジー)を作成。その中から各グループが一つの作品を選び、クラス全員の前で発表する。

育てたい力

ことばあそびの特徴をとらえ、分類する力
ことばあそびの詩を正しく書き写したり、編集する力
楽しみながら自分でことばあそびをつくる力
聞き手にも楽しめる、参加型の発表をする力

単元のねらい

 1年生では、物語をつくる学習などを通して、長文を書くことに慣れさせた。2年生では言葉を吟味する力を育てたいと考え、学習の素材として詩を多く扱う。
 1学期はいくつもの詩を視写し、自分の好きな詩を集めてアンソロジーの編集を行った。2学期は詩の「継承」から「創造」に移行し、自分で詩をつくる力を付けるため、この単元を設定。詩の中でも「ことばあそび」を選んだのは、2年生の発達段階を考慮し、言葉のリズムを体感して、「日本語って面白い」「言葉は楽しい」と感じられる時期だと判断したためだ。
 「参加型」の学習スタイルも重視する。「もともと『ことばあそび』は、相手がいるから楽しめるもの。楽しく伝え合うことで人間関係の潤滑油になればと考えました」(藤本先生)

指導の流れのポイント

 まず、教師が、単元の最後に設定したことばあそびの発表会「ことばあそびシアター」を実演する。子どもの意欲が高まったところで、「シアター」をつくるためには、まず「ことばあそびアンソロジー」をつくることが必要だと伝え、言語活動に入る。
 「最初に目標をイメージさせて『自分もして、他の人に伝えてみたい』という気持ちを起こさせます。教師の体験を伝えながら『そのために何をすれば良いか』を考えさせて学習の課題設定に結び付けます」(藤本先生)
 見本の提示は、学習に不安がある子どももまねすることから学習を始められるという利点もある。
 詩をつくる準備として、多くの詩を読み、書き写し、音読させる時間を設定。グループごとに行われるアンソロジーの作成では、「編集会議」という話し合いの場で、協同的な学びを行う。
 発表会では、「どうすれば観客を楽しませられるか」という視点から、グループごとに演出を考案。最後に振り返りの場を設定し、活動を通して、どのような力が身に付いたのかを自覚させる。

教師の振り返り

 発表前の練習時間はあまり多く取っていないにもかかわらず、すべてのグループの子どもが内容を暗記して「ことばあそびシアター」に臨んだ。「家で自主的に練習した子どもが多かったようです。活動を楽しんでいた表れだと思います」と藤本先生は話す。
 恥ずかしがり屋で、以前は自分をうまく表現できなかった子どもがグループの中心になり、立派に発表した姿も印象的だったと藤本先生は振り返る。
 「ことばあそびを覚えて練習するうちに楽しくなり、『自分にも出来る』と自信を深めたようです。このように言語活動は、子どもの新しい面を開花させる可能性があります」

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