移行措置対応のポイント 第4回 言語活動を通じてつくる国語の授業
藤川ひとみ

▲奥州市立衣川小学校校長

藤川ひとみ

Fujikawa Hitomi

吉田よしみ

▲奥州市立衣川小学校

吉田よしみ

Yoshida Yoshimi
研究主任。1学年担任


VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「目的に応じて表現する力」を付けるための実践

[1] 身に付けさせたい力の明確化・重点化

 まず子どもに身に付けさせたい力を明確にすることが必要だと考え、「7つの読解力」として整理。検討段階では、PISA型の「読解力」も考慮した。更に、学年ごとに年間の各単元の指導事項を整理した「指導事項マトリクス」を作成。「7つの読解力」を組み込み、身に付けさせたい力の重点的な指導に役立てている。
 力の確実な定着のため、基礎・基本を固め、実生活での運用を意識した時間も別枠で設けた。漢字・語彙(ごい)の指導で書く力を底上げする「ことば1」、対話活動を通して自分の考えを論理的に伝え合う力を高める「ことば2」、授業で十分に指導できない表現様式を全校一斉で指導する「衣小タイム」がある。

[2] 「言語活動を設定するプロセス」の明文化

 学んだ知識を基に、目的に応じて自分の言葉で表現できるようにするためには、言語様式を明らかにした言語活動の設定が大切だと考える同校。「目的や相手に応じた話し方は、言語活動を通して表現の様式をしっかり意識させることで育っていくと考えています」と吉田先生は説明する。その目的から「ぶれない言語活動」を設定するために、「言語活動を設定するプロセス」を明文化した。

[3] 子どもが主体的に学習を進めるための工夫

 子どもが主体的に学ぶ力を育むため、授業では子どもが司会・進行を担当(写真)。休み時間に教師と打ち合わせ、クラスの実態に合わせて教師が作成した進行シナリオを基に授業を進める。「シナリオを読み取って話す力を育成すると共に、子どもに『自分たちで学んでいる』という意識を持たせるのがねらいです」と吉田先生。
 見通しを持って学ばせるため、学級全員に授業の冒頭で学習の流れが書かれたワークシート(図1)を配布。思考の流れを記入するスペースを設け、子どもが自分の思考に沿って学習を進められるようにしている。

写真:司会の子ども2名が前に座り、授業を進める
*司会の子ども2名が前に座り、授業を進める
図1:ワークシート

[1]身に付けさせたい力の明確化・重点化[2]「言語活動を設定するプロセス」の明文化の具体的な取り組みは、次のページからをご参照ください

矢印
成 果

学習内容を自ら活用する意識が向上

 子ども主体の活動を通じ、子どもの姿は変わりつつある。「勉強は教えられるものではなく、自分たちで学び進めるものであり、学んだ内容を宿題など他の学習に生かそうとする姿勢が育っています」と吉田先生。
 教師には、子どもに付けたい力や、表現様式を明確にして言語活動を設定する意識が根付いた。その成果は子どもの様子から垣間見ることが出来る。「子どもが作る委員会だよりや児童総会の発表では、以前に比べ、『誰に何を伝えたいか』という視点が明確になってきました」と藤川校長は評価する。


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