HOP! STEP! 小学校英語! 【実践事例】クイズやゲームを工夫し子どもの主体的なコミュニケーション能力を育む

宮崎みさ

鈴鹿市立椿小学校

宮崎みさ

Miyazaki Misa
5学年担任

山田幸子

鈴鹿市立椿小学校

山田幸子

Yamada Sachiko
6学年担任

鷹巣雅英

三重県小学校英語活動研究会事務局代表
(元鈴鹿市立椿小学校講師)

鷹巣雅英

Takasu Masae

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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HOP! STEP! 小学校英語!

実践事例:三重県鈴鹿市立椿小学校

クイズやゲームを工夫し子どもの主体的な
コミュニケーション能力を育む

鈴鹿市立椿小学校では、「英語ノート」に盛り込まれたクイズやゲームに身近な素材を取り入れるなどのアレンジを加えている。子どもが意欲的に参加する活動を通じて、主体的なコミュニケーション能力を養うことがねらいだ。

マニュアル化しない「コミュニケーションを楽しむ10のポイント」を作成

 三重県の山間部に位置する鈴鹿市立椿小学校は、全校児童数が約150人の単学級校だ。知っている人に会っても、自分からあいさつ出来ないこともある内気な子どもも多いという。英語活動に取り組み始めたのは、1997年に文部省(当時)から小学校英語の研究開発学校に指定されたのがきっかけだ。当初は、多くの子どもが緊張しながら英語を学んでいた。そのため、既習の英語表現であっても、教師の質問に対して言葉を詰まらせてしまい、うまく答えられないこともあった。
 子どもの緊張は英語活動を続けていく中で少しずつ緩和され、スムーズに受け答えが出来るようになった。しかし、英語活動に慣れるに従って、マニュアル通りのコミュニケーションにこだわる傾向が見られるようになったという。5年生担任の宮崎みさ先生は、当時の様子について次のように説明する。
 「教師が例文を示し、復唱させた後に、子ども同士で同じように活動させます。すると、授業で習った例文と少しでも違う答えが返ってくると、対応出来なくなる子どもが多く見受けられました」
 6年生担任の山田幸子先生は、子どもの主体性の欠如も感じていた。
 「授業中、子どもは教師に質問されるのを待っているばかりでした。自分から発言しようとする意欲がないことが目に見えて分かりました」

図1 コミュニケーションを楽しむ10 のポイント
よく聞いて
Listen
carefully
1 手掛かりになる言葉を見つけながら聞きました。
2 Happy Wordsを使って、
相づちを打ちながら聞きました。
3 One more time, please. と言って、
聞き取れなかったことを聞き直しました。
相手の目を見て
Eye contact
4 話し手の顔を見て聞きました。
5 話し手の言おうとすることは何か考えながら、聞きました。
笑顔で
Smile
6 笑顔で聞いたり、話したりしました。
相手に届く声で
Clear voice
7 相手に届く声で、はやさを工夫して話しました。
響き合う力
Enjoy
communication
8 Happy Wordsを使って、やりとりを続けました。
9 今まで学習した表現を使って、
言いたいことを伝えようとしました。
10 ジェスチャーや絵などを使って、会話を続けました。
Happy
Words
Oh. / Yes. / Nice. / Wonderful. / Very good. / Wow. / Really?
/ Thank you. / You are welcome. / Good job. / Nice try. / Sure. /Help me, please.

 そこで、より自発的に活動に取り組めるようにと、独自に「コミュニケーションを楽しむ10のポイント」(図1)をつくった。「相手の話をよく聞く」「相手の目を見て話す」など、コミュニケーションにおいて重要な10項目を挙げ、更に、 Oh. Wow.などの感嘆詞や Sure. Really? などの相づちの言葉を「Happy Words」として示した。椿小学校の英語活動を主導してきた鷹巣雅英先生は、「Happy Words」によってコミュニケーションにもコツがあることを伝えたかったと説明する。
 「ちょっとしたあいさつや相づちが会話をつなぎ、円滑なコミュニケーションに役立つことを教えたかったのです。楽しいコミュニケーションには難しい表現は必要ないことが分かれば、子どもはもっと自分から話すようになると考えました」
 「コミュニケーションを楽しむ10のポイント」は、英語活動の度に一人ひとりに配布する「振り返りカード」の一要素でもある。子どもが、10項目の中から、今日はどの項目を頑張るかを決め、授業の終わりに、目標がどの程度達成出来たかを自己評価する。活動に目的意識を持たせる上で効果的なツールとなっている。


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