三重県の山間部に位置する鈴鹿市立椿小学校は、全校児童数が約150人の単学級校だ。知っている人に会っても、自分からあいさつ出来ないこともある内気な子どもも多いという。英語活動に取り組み始めたのは、1997年に文部省(当時)から小学校英語の研究開発学校に指定されたのがきっかけだ。当初は、多くの子どもが緊張しながら英語を学んでいた。そのため、既習の英語表現であっても、教師の質問に対して言葉を詰まらせてしまい、うまく答えられないこともあった。
子どもの緊張は英語活動を続けていく中で少しずつ緩和され、スムーズに受け答えが出来るようになった。しかし、英語活動に慣れるに従って、マニュアル通りのコミュニケーションにこだわる傾向が見られるようになったという。5年生担任の宮崎みさ先生は、当時の様子について次のように説明する。
「教師が例文を示し、復唱させた後に、子ども同士で同じように活動させます。すると、授業で習った例文と少しでも違う答えが返ってくると、対応出来なくなる子どもが多く見受けられました」
6年生担任の山田幸子先生は、子どもの主体性の欠如も感じていた。
「授業中、子どもは教師に質問されるのを待っているばかりでした。自分から発言しようとする意欲がないことが目に見えて分かりました」 |