小学校英語活動 Vol.1 千葉県成田市立成田小学校


成田小学校データ
成田小学校は、千葉県北部、成田空港を擁する成田市(人口約10万人)にあり、約130年もの歴史を持つ。真言宗成田山新勝寺の参道沿いに位置し、校区は参道を中心とした古くからの市街地と、周辺の新興住宅地から成り立っている。1996年から、3期(10年間)に渡って、文部科学省の「小学校における外国語学習」の研究指定を受け、今日まで英語学習の研究を継続している。
住所 〒206-0028 
千葉県成田市幸町948番地1
電話 0476-22-1334
FAX 0476-22-1335
URL http://www.city.narita.chiba.jp/
sosiki/kyoui/gakkou_HP/
naritasyo/top.html

校長 門馬紘一先生
児童数 1,040人(2005.5.1現在)
学級数 33(障害児学級3含む)


佐藤広幸先生
▲成田小学校の英語学習の研究を中心になって進めている研究主任の佐藤広幸先生。研究がスタートした1996年4月に赴任している。

WEB版 VIEW21[小学版] 教育情報レポート ~小学校英語活動~
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小学校英語活動  Vol.1
千葉県成田市立成田小学校

「場面シラバス」で小中連携の英語科学習を目指す

「国際教育推進特区」に指定されている成田市では、公立小学校に「英語科」を設置して英語の学習を展開するほか、児童・生徒が英語に慣れ親しみ、実践的なコミュニケーション能力を身につけるためのさまざまな施策が進められている。なかでも、児童数が市内最大の成田小学校では、1996年度から文部科学省(当時は文部省)の指定を受け、小学校に教科としての英語教育を位置づけるための研究を続けている。そのおよそ10年にわたる研究のなかからみえてきた成果と課題を紹介する。



●成田小学校英語科学習のPOINT

(1) 1~6年生まで、20分のモジュールで週5回(毎日)の授業を実践

(2) 「聞く」「話す」活動が授業の中心

(3) クラス担任が指導案を作り、授業内でクラス担任が英語を話す場面をつくる

(4) 発音の間違いを指摘するよりも、英語を「使う」ことを重視する

(5) 場面シラバス」を用いた授業で中学校との連携も視野に入れる

(6) 児童に対する観点別評価も実施

「聞く・話す」中心の学習により、中学校での自信につなげる

  10年間取り組んできた成田小学校の英語科学習の研究も、今年度(2005年度)は、3期目の最終年に当たる (表1)。


▼表1

期間

テーマ

主な内容

第1期

1996年度~99年度

地域社会に根ざした小学校英語学習

~週あたり複数回の英語活動を通して~

「聞く・話す」中心の指導を週2回(20分×2)実施。

第2期

2000年度~02年度

未来へつなぐ小学校英語~実践的なコミュニケーション能力の基礎を養う~

「聞く・話す」中心の指導を週5回(20分×5)実施したうえに、発達段階に応じて「読む」「書く」の学習も盛り込み、何年生から文字学習を取り入れるのが効果的かを探る。

第3期

2003年度~05年度

未来に生きる英語科学習~小・中連携を通して実践的なコミュニケーション能力を高める~

・中学校の英語科学習にスムーズに移行するための小学校の学習のあり方を研究。

・小・中連携した9年間のカリキュラムを作成。

・教科としての「英語科」のあり方を研究。

・4観点の評価を発達段階に応じて取り入れる。


  成田小学校の英語科学習の大きな特徴は、全学年で毎日、実施していることだ。1期目は週2回だったものを2期目から現在と同じ週5回に拡大した。1回の授業時間は20分。教育課程は、特例として1、2年生は国語、生活、音楽、図工から合わせて70時間分、3~6年生は総合的な学習の時間から80時間分を削減し、英語科の時間とした。
「最初は45分授業も考えたのですが、それでは授業回数が多くとれません。外国語の学習は、短時間でも繰り返し学習することが有効なのです。それに、45分というのは、教える側にとっても長いのです。45分もあると、つい、日本語での説明が長くなります」と語るのは、成田小学校の研究を中心になって進めている研究主任の佐藤広幸先生だ。

 「聞く」「話す」活動を中心とした英語科学習を積み重ねた結果、「英語を使って簡単な話をすることができる」児童が、研究開始前は33.7%だったのが、すでに99年度に90.2%と、飛躍的に増加した。

 そしてこの自信は、中学校入学後も継続していることが、成田小学校の卒業生の大部分が進学する成田中学校の調査で明らかになった。「簡単な英語を使って会話をすることができる」生徒の割合は、成田小学校卒業生が94.5%、その他の小学校の卒業生が82.4%(中1生)となり、12.1ポイントの差が出てきた。学年が上がると全体に数値が多少下がるが、両者の間の10ポイント以上の開きはほとんど変わらなかった(2002年度調査)。

「自信を持たせることはとても大事で、今後、こうした実践を続けることで、『簡単な英語なら話せる』という日本人が増えてくると思います」と、佐藤先生は胸を張る。


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