小学校英語活動 Vol.2 東京都品川区立城南小学校


城南小学校データ
 1874(明治7)年に開校し、昨年の2004年、開校130周年の行事が行われた歴史と伝統を誇る小学校。学校のすぐ西側を第一京浜国道、東側には旧東海道が走り、古い寺社とともに企業の工場も立ち並ぶ、新旧共存の地域にある。小規模校のよさを生かして、一人ひとりが個性、能力、感性を発揮できる教育を目指している。英語学習の研究に本格的に取り組んだのは、02年度から。05年11月4日にはその集大成として、研究発表会が行われる。
住所 〒140-0004 
東京都品川区南品川2丁目8番21号
電話 03-3471-7919
FAX 03-3471-7998
URL http://www1.cts.ne.jp/~jonan/
校長 髙木善彦先生
児童数 239人(2005.4.20現在)
学級数 9


髙木善彦校長

髙木善彦校長
品川区小中一貫教育における英語科のカリキュラムおよび教材開発のリーダー。教員になる前はテレビ局員としての海外生活の経験もある。教員になってからはシンガポールの日本人学校にも派遣され、それ以前の経験と合わせて、海外生活は9年間にも及ぶ。そうした経験を生かし、一貫して国際理解教育に携わってきた。

WEB版 VIEW21[小学版] 教育情報レポート ~小学校英語活動~
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小学校英語活動 Vol.2
東京都品川区立城南小学校

「聞く力」をつけ、バイリンガルの基礎能力を育成する

「学校選択制」をはじめ教育改革の先頭を走っている東京都品川区では、2006年度から区内の公立全小中学校で「小中一貫教育」が始まる。その一貫教育の柱の一つが、「小学校からの英語教育」。城南小学校は、02年度から品川区英語活動特別推進校、04年度からは品川区立小学校校長会研究開発学校として、1年生から6年生まで年間20時間を確保しながら、英語活動の研究を続けてきた。そこからどのような成果や課題が明らかになったかを紹介したい。

 

 

●城南小学校英語活動のPOINT
(1) 各学年1回45分、年間20時間行うALTによる英語授業では「聞く力」に重点をおいた指導。特に3年生以上は、授業のなかに「ヒヤリングタイム」を設けている。
(2) (1) とは別に、3年生以上には担任が指導する15分間の「ミニ学習」を週1回実施。
(3) (1)(2)に加え、音声から文字へのスムーズな移行のため、5、6年では、7~8時間のフォニックス指導を取り入れている。
(4) 学年別の系統的なカリキュラムでは、疑問形のキーフレーズを毎時取り入れることで、コミュニケーションのきっかけをつくる工夫をしている。
(5) 活動のなかで「サンキュー」「プリーズ」を多く使うため、日本語でも自然に感謝の気持ちを表すことができるようになってきた。

英語活動いちばんのねらいは、コミュニケーション能力の育成

 城南小学校で本格的に英語活動の研究を始めたのは、02年度から。髙木善彦校長の強い思いがあってのことだ。海外日本人学校時代と教員以前の経験を合わせて約9年間の海外生活の経験がある髙木校長は、一貫して国際理解教育や小学校英語教育の研究・開発にかかわってきた。

 前任校は、東京都の国際理解教育推進校の品川区立清水台小学校であるが、そこでの経験から、英語活動によって伸びるのは英語力そのものより、別の面であることがわかったという。

「皆、はじめて学習するので、何でも言いやすいし、間違ってもはずかしがる子どもはいません。そのような英語活動を続けた結果、他の授業でも、発言することを恐れない子どもが育ってきました。友だちのことがよくわかるようになり、いじめなどもなくなりました」

 実際、城南小学校で実践してみても、英語活動での自信が他教科にもよい影響を及ぼし、全体に学力面での伸びが見られた。また、活動のなかで「サンキュー」「プリーズ」をさかんに使うので、日本語の日常会話でも自然に感謝の気持ちを表すようになり、学校生活が円滑になったなどの副産物が大きいという。

 だから、 城南小学校の英語活動のいちばんのねらいに、「英語を通してコミュニケーション能力を育てる」ことを掲げたのだ。


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