小学校英語活動 Vol.2 東京都品川区立城南小学校
WEB版 VIEW21[小学版] 教育情報レポート ~小学校英語活動~
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「ヒヤリングタイム」でバイリンガルの基礎能力、「聞く力」を育てる

 城南小学校の英語活動は、低学年では「英語にふれる」、中学年では「英語に親しむ」、高学年では「英語に慣れる」というコンセプトのもとに各学年、1回45分、年間20時間のALTと担任による活動を実施している。そのほか、03年度からは5、6年生に対してのフォニックス指導(後述)、さらには05年度から、担任だけで指導する週1回、15分のミニ学習(注1)と、その内容も年々重層化している(図1)。

注1 ミニ学習では、 主として、授業の導入や児童集会で歌う「今月の英語の歌」を練習したり、本時に出てきた「キーワード、キーフレーズ」の練習をしたりする。独立した学習というより、本時と関連し、本時の内容の定着を目指した学習を実施している。「英語を取り入れる学校が増えてくると、すべての英語の時間にALTが加わることは不可能です。そのため、担任一人でもできる学習方法として考えました」(髙木校長)。この時間は、CDなどの視聴覚教材を積極的に活用している。

▼図1 城南小学校の英語活動の基本的な考え方と主な活動

 

基本的な考え方

主な内容

配当時間

低学年

英語でのコミュニケーションに親しむ

英語にふれる

・外国の人とかかわり、外国の歌や遊びに関心をもつ。

・ゲームや歌など、全身を使ったアクティビティを通して、音やリズムに慣れる。

・日本語と英語の違いに関心をもつ。

ALTとの活動、各学年年間20時間

中学年

英語に親しむ

・歌やチャンツなどの言葉遊びを通して、英語の音や簡単な会話に親しむ。

・簡単な英語でコミュニケーションを図ろうとする力を身につける。

・外国の文化や生活習慣に関心をもち、自分たちの生活にも関心を深める。

ALTとの活動、各学年年間20時間

+週1回の担任指導のミニ学習

高学年

英語でのコミュニケーション力を身につける

英語に慣れる

・発展的なフレーズ学習を通してヒヤリング力を育成する。

・フォニックス学習を通して、文字と音声の結びつきを知る。

・簡単な英語で、コミュニケーションを図る力を身につける。

・外国の文化や生活習慣を知り、世界や自国、自分の将来について、夢や希望を広げる。

ALTとの活動、各学年年間20時間

+週1回の担任指導のミニ学習

+フォニックス7~8時間

 ALTと担任による活動の構成は、(1)導入、(2)心と体のウォームアップ、(3)メイン活動(キーフレーズまたはキーワードの練習ほか)、(4)ヒヤリングタイムあるいはクイズタイム、(5)学習のまとめという流れである(図2)。

▼図2  城南小学校2005年度の取り組みの概要

図2

 特徴は「ヒヤリングタイム」を3年生以上に実施していることだろう。

「中学校での英文解釈のように、内容を逐一理解することは求めていません。話の大意がわかればよいのです。つまり、ALTが話した内容を、例えば『夏休みにカナダに行って、妹とテニスをした』というように短い一文に表現できればよいことにしています」

 ヒヤリングタイムを毎回、学習の流れのなかに位置づけているのには、理由がある。

 城南小学校の英語活動の目標のなかに、「バイリンガルの基礎能力の育成」が掲げられているが、バイリンガルの基礎能力とは、「聞き取る力」と考えているからだ。

「私が外国で生活をしていたときは、ラジオのニュースを流しっ放しにしていました。そのうちに『こういうことを言っているのではないか』とわかるようになり、人と話しても、相手の言っていることがわかるようになりました。相手の言うことさえわかれば、意思表示は単語の羅列でもできるわけです。だから、バイリンガルの基礎は『聞く力』。それと、度胸ですね。外国人に話しかけられても、たじたじとしない子どもを育てたいのです」

▼写真 今月の英語・今月の歌
写真
「今月の英語」は児童の放送委員会によってお昼の校内放送で流される。「今月の歌」は、授業の導入のほか、児童集会などでも歌われる。

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