小学校英語活動 Vol.2 東京都品川区立城南小学校
WEB版 VIEW21[小学版] 教育情報レポート ~小学校英語活動~
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一つの問いからいろいろな答え方ができる子を育てたい

 城南小学校では、02年度に試みたことをもとに、03年度からは系統的なカリキュラムづくりに取りかかった。まずは低・中・高と3段階でつくり、04年には学年別に完成させた(図3)。その特徴は、疑問形のキーフレーズからスタートさせていることだ。例えば、What's your name? What's this? Do you like ~? Which do you like, A or B? という具合に、相手に何かを尋ねるときの言い方、そして答え方を毎回必ず入れた。

「コミュニケーションの手がかりは相手に何かを尋ねたり、相手にきかれたことに答えることですから、そのさまざまなフレーズを身につければ、どんな相手との、どんな状況に遭遇しても、堂々と振る舞えます」

 だから、その問いには、必ず、子ども自身の言葉で答えられるようにしたいという。例えば、How do you do? という質問に、I'm fine.としか答えられないようではダメだという。「I'm happy.とか I'm tired.I'm hungry.など、一つの問いから、いろいろな答え方ができるような子どもにしたいのです。それは、日本語で答えてもいいと言っています。そうしないと、中学校英語と同じ轍を踏み、実践では何も役に立たないものになります」

▼図3 城南小学校2004年度英語活動年間カリキュラム
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図3

 05年度は、完成したカリキュラムを、子どもの状態を見ながら発展させて使っている。しかしながら、実践を続ければ続けるだけ、悩みも出てくる。例えば、「~しましょうか」という意味で、May I ~?という言い方がいいのか、Would you ~?がいいのか、ALTによっては、「いまはそんな言い回しはしないよ」と言われたりする。同じフレーズでも、話し手の出身地や世代、育った環境などによって違うから、どういう言語の材料を使い、どのように教えればいいかと、髙木校長は常に悩んでいるという。

「でも、いまはトライの時期です。『10年くらいたってから、日本人に有効な素材が見つかればいい』くらいの気持ちで臨んだほうがいいのです。みんなが悩み苦しんでいるからこそ活性化しているともいえます。もし、文部科学省からナショナルシラバスが提示され、それが定着したら、かえって英語活動は沈滞するかもしれません」と笑う。

「だから管理職は、現場で試行錯誤している先生方に完璧さを求めたり、枠にはめたりしないほうがいいと思います」


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