指導は、インストラクターのアンドレ・シャレット先生と担任の長谷川雅子先生とのTTで行われた。
あいさつが終わると、10人ほどの子どもたちが指名され、立ち上がった。すると、アンドレ先生がHow
old are you? Can you swim? What time is it now? などと一人ひとりにまったく違った質問を投げかけた。子どもたちは、I'm
eleven years old. とか、Yes,I can.No,I can't. などと、よどみなく答えていく。なかにはネイティブに近い美しい発音で答える子もいる。前もって答えを用意していたかのような堂々とした答えっぷりだ。あとから長谷川先生にきいたところ、アンドレ先生の質問には既習事項から選んだ15くらいのパターンがあり、だれにどの質問をするのか、その場にならないとわからない。「だから、子どもたちは毎回、ドキドキしながら聞いている」のだそうだ。
こうしたインストラクターと一対一で話す場面は、6月から毎時間取り入れているそうだ。発表しない子どもも、次はどんな質問をされるのか、自分ならちゃんと答えられるだろうかと耳を澄ましているのがわかる。時間にして5~6分だが、こうした緊張感で、子どもたちがどんどん授業に集中してくる。
ウォームアップ後は、本題に入る。長谷川先生が、「では今日は、20の職業に関係する場所をヒントにクイズをしていこうと思います。 “彼女はどこそこにいますよ” “彼は○○にいますよ” というヒントで、彼、彼女の職業を当てましょう」と日本語で説明し、「He's
in the 場所の名前、She's in the 場所の名前」と一斉に板書を読ませる。
ゲームの進め方の説明に限らず、節目、節目に長谷川先生が日本語で説明をされていたが、これもこれまでの試行錯誤の結果のようだ。
「04年度はアンドレ先生が英語でやり方を説明していましたが、全員に理解してもらうのは難しかったのです。そこで今年度からは、やり方の説明は、担任がきちんと日本語で説明するように変更しました」(長谷川先生)
説明の次は、長谷川先生とアンドレ先生とでデモンストレーション。それぞれ3問ずつ、質問者と回答者を交代してやってみせてくれた。ふだんは、子どもたち同士でも試してもらい、みんなが了解するまでたっぷりと時間をとるのだという。
子どもたちがゲームの進め方を納得したと確認できたところで、グループ別にトランプ大のピクチャーカードを使いながら、ゲームを始めさせた。およそ10分、「コックじゃなくてクックだよ」などとお互いの発音を注意し合う場面もみられ、子どもたちは楽しみながらも、「学習」という側面を忘れていないようだった。
子どもたちが大いに盛り上がったのは、最後のスペシャルクイズ。顔が隠してある有名人の写真を見せながら、職業と名前を当てるクイズだ。アンドレ先生が、He
is very tall.He is fast.とヒントを出していく。「高い?」「速い?」「わかった」「イチロー?」などの声に、アンドレ先生が「He
is in N.Y.」と言った途端、子どもたちは「わかった。松井選手」と歓声をあげる。先生に促されて、 He is
a baseball player.と発声。ワークシートに「松井選手」と日本語で記入……。子どもたちは退屈する時間もなく、余韻を残しながら45分が過ぎた。
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