司会 現在、全国の小学校の9割以上で英語に関するなんらかの活動が行われています。まず、この現状についての問題意識をうかがいたいと思います。
片岡 文部科学省の05年2月調査では、小学校で週1回程度の英語活動を実施している学校が約10%あるということです。私は視点を変えて、自治体ごとの英語活動の実施状況をみてみました。
まず、小学校英語の実施段階を(1)~(4)に分けてみました。
(1) |
たまたま英語に熱心な先生がいる、ALTが配属されたなどの理由で、個別の学級が導入している段階 |
(2) |
校長の方針、研究開発校に指定されたなどの理由で、学校全体で取り組んでいる段階 |
(3) |
隣接している小中学校などが、小中連携で実施している段階 |
(4) |
一貫したプログラムのもと、自治体ぐるみで実施している段階 |
平成の大合併前の05年4月時点での自治体数が約2300でしたが、(4)の段階まで進んでいると思われる自治体が20前後ありました。(3)の段階で30弱、(2)の段階で20弱となり、(2)(3)(4)合わせると、2300自治体中60強の自治体で、2~3%になりました。残りは(1)段階、つまり、先生や地域の個人的な頑張りに委ねられているというのが実情です。数字だけで見ると、「教科」化の検討どころか、まだきちんとした英語を指導する段階になっていないのではないかというのが私の実感です。これを広げるにはどうしたらよいのかというのが現実的な課題です。
社会学では、世の中に何か新しい現象が起きたとき20%を超えた時点で燎原の火のように勢いがつくと言われることがあります。ですから、文部科学省がどのように決めようと、20%くらいの自治体が小学校英語を始めると、黙っていても全国に広がるような気がします。高校入試への影響などを考えて、実施していない自治体では住民が黙っていないということもあると思いますから。
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