東京23区を除けば横浜市は人口約358万人の日本最大の都市です。小学校の数だけでも354校あります。傍目から見ると、横浜は財政基盤がしっかりしているから教育環境も整っていると思われがちですが、必ずしもそうとはいえません。英語でいえば、中学校でネイティブスピーカー等がかかわっている授業は、全国平均が22.6%であるのに対して、横浜市では14.6%しかありません。ALTも十分確保できていないのが実情です。
そんな現状に対して、「英語教育を充実すべきだ」という声は高いのです。中田宏市長も「これからの横浜市の発展のためには英語教育が重要だ」という認識を持っているし、市民アンケートによっても英語教育のニーズは高く、そこで、04年度からようやく重い腰を上げて小学校英語活動に取り組み始めたのです。
横浜市には外国籍の住民が7万人くらいおり、さらに英語が堪能な日本人も多数います。02年のFIFAワールドカップ大会で通訳ボランティアを募集したところ、約7千人の応募があった土地柄です。そうした地域の人材を活用した英語活動を行う「英語活動推進校」を04年度に23校指定、05年度には38校に拡大し、そこでの研究成果をもとに全市に広げていこうという具体的取り組みです。まだ緒に就いたばかりです。
その一方で、将来に向けての教育のあり方を検討してもらう「横浜教育改革推進会議」を04年7月に設置しました。05年7月の第1回答申の中で「国際都市横浜に相応しい語学教育戦略」について取りまとめ、2009(平成21)年度までには市内の全小学校で英語教育を導入することをめざすべきとの提言をもらいました。
実施するからには、しっかりとした目標を設定し、カリキュラムを編成しなくてはなりませんし、指導体制も準備しなくてはなりません。12月には専門家・有識者による「英語教育推進協力者会議」を発足しました。今後、09年度全校実施に向けてのプログラムや諸作業の中身を検討してもらいます。
学校現場では、まだまだ「本当にできるのか?」と疑問視している声も聞かれますが、まずは具体的な指導目標を示すことで、先生方の姿勢も変わってくると思います。
中教審の答申でも、「小学校英語教育の充実を図る」ということがうたわれました。早晩、小学校英語教育は国の方針としても実施されるでしょう。それならば、一歩先んじていたほうが先生たちにも余裕が生まれます。
教育委員会としては、先生方に指針をしっかり示したうえで、指導教材・教具の整備、人材確保のための支援、先生方の研修等条件整備を進めていきたいと考えています。
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