ベネッセ教育総合研究所 進研ニュース
2002.04
特集「学力」を考えるシリーズ 1
「学力」とは何か?

読者の先生が考える「学力」とは?

普段、何気なく使っている「学力」について、読者の先生にもあえてその中身をきいてみました。
びっしり書いていただいたアンケートの答えのなかから、一部を抜粋して紹介します。

レディネスと読む力・聞く力

 その学年で学ぶためのレディネス、文章を読んで意味をとらえる力、話を聞いて理解する力のこと。これがないと、学習意欲が持てないし、人の意見に積極的にかかわっていこうという気持ちが持てなくなり、さまざまな面での関心が失われていく。  (神奈川県・51歳・男性)

聞く力と話す力が基本

 a他者の話を聞き、内容を正確に把握する力、b自分の心情や考えを、口頭で他者に向かって適切に表現する力、c文章を読み、正確に内容を把握する力、d自分の心情や考えを文章にまとめる力、だと思うが、いちばん大切なのは、aとb。  (東京都・40歳・男性)

教科書を自力で理解すること

 教科書を自力で読んで理解し、問題が解けること。さらに補助問題集も自力で解けること。学力のなかでもいちばん大切なのは、既知の知識を用い未知のことがらを咀嚼そしゃくして取り入れる力。そして、学習によって、自分の能力を新しいステージに上げること。  (山梨県・54歳・男性)

小・中学校の基本問題が解ける力

 少し難しい字でも読み書きができ、二次方程式程度は解ける…といった、いわゆる小・中学校の基本問題くらいは解ける力を「学力」と考える。社会に出て、あることに興味・関心を持って調べたり応用したりするとき、その力が獲得されていないと、中途半端にあきらめてしまうから。  (東京都・54歳・男性)

「なぜ?」「どうして?」と疑問を持つこと

 a疑問に思ったことの原因を考えたり調べたりする力、b調べたことをほかの人にわかるように説明する力、c自ら課題を見つけて取り組む力。なかでも、aが大切。内なる欲求が生まれたとき、子どもは大きな力を発揮し、変容する。  (埼玉県・46歳・男性)

トータルな人間としての力

 人間関係をつくる能力、困難に立ち向かう力、人前で話す力など、学習能力にとどまらず、トータルな人間としての力を「学力」という。とりわけ、人間関係能力が大切であると思う。  (福岡県・43歳・男性)

社会のなかで生きていく力

 広い意味では、「生きていく力」だ。学校を卒業したあと、社会で生活していけるだけの力、集団のなかで人とかかわりを持って生きていけるだけの力のことをいう。ただし、その力をつけるためには、読み書き、計算という「基礎学力」が必要で、とりわけ、学校生活では、「読む」力を身につけさせたい。   (福岡県・53歳・女性)

総合力だが、知識があってこそ積み上げられる

 知識と思考力を中心とした総合力。なかでもいちばん大切なのは、知識。そのうえにいろいろな「力」が積み上げられる。  (大阪府・45歳・男性)

国語がいちばん大切

 事象を自分自身で受け入れ、解釈し、判断できる力だと思う。私の担当教科は数学だが、学校教育でいちばん大切なのは国語で、昔ながらの音読、書き取り、作文は、小・中学校のうちに徹底しておきたい。  (東京都・42歳・男性)

経験・体験という根っこ

 学力は、木にたとえるならば、幹や枝に当たる。「自分自身で考えたり調べたりして解答を導き出す力」だと思う。ただし、地表の幹や枝が育つには、根に当たる経験や体験が必要。さらに根を張る土に相当するのが、社会。現実は、土壌は貧しく弱っているので、木は根を大きく張れず、その結果、幹も枝も大きくなれないでいる。  (新潟県・37歳・男性)


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