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特集●地域で進む教育改革(1) 学校選択制の成果と課題

品川区教育委員会
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学校選択制の成果と課題
●学校が活性化し、保護者の意識も高まった
行きたい学校を選べる「学校選択制」が、都市部を中心に広がっている。先鞭をつけたのは、東京都品川区。小学校で2000年度から、中学校で2001年度から導入し、年々通学区域外の学校を希望する子どもが増えている。学校選択制で学校はどのように変わったのか、同区教育委員会の青木哲男指導課長にうかがった。
 学校選択制でねらったのは、ずばり、学校の活性化です。ねらい通り、選択制導入の前と後では、見違えるように学校の姿勢が変わり、活気も出てきました。学校が選ばれる側に立ったことで、それぞれの学校が生徒や保護者にアピールする特色づくりに努めているからです。
 確かに、選ばれる学校がある一方で選ばれない学校もあり、先生方にはプレッシャーがかかります。実際、昨年度9人しか入学者がなく、マスコミで取り上げられた学校もありました。入学者減の原因は複雑ですが、この学校では、公開授業のなかで少人数を大事にする授業ぶりを見てもらったり、小学校の保護者会に出席して説明を積み重ねるなど、新しい校長先生を中心に努力した結果、2003年度はほぼ1学級分の生徒が入学を希望するまでに挽回しました。
 学校選択制は保護者の教育への関心も喚起しました。最初は、自己責任でわが子の学校を選ぶことに、戸惑いの声も少なくありませんでしたが、学校公開をはじめとして、教委のパンフレット、学校のホームページ、リーフレットなど、選択のための資料が年々充実してきて、「選ぶ」ことが定着してきました。中学校の場合、2003年度入学では、約3割が通学区域外の学校を選んでいます。結果として区域内の学校に入学しても、「選んだ」という意識があるので、学校を支えようとする気持ちが強くなり、よい効果をもたらしていると感じています。(談)
学校選択のための資料の一例。教育目標、指導の重点等の基本情報のほか、制服の写真や卒業生の進路まで、知りたい情報が過不足なく載っている
 
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