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ITとバイオの時代でも 溶接が好きなら溶接工になったほうがいい |
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仙崎 一人ひとりが社会と向き合うということに関連して言うと、我々の分野の専門用語で「キャリア・アンカー」という言葉があるんですね。アンカーとは「錨」という意味ですが、人が職業や生き方を決めていくためには、きちんと自分の拠り所を定める錨が必要になります。その構成要素は、「能力」「欲求」「価値観」です。きちんと生きていける人間になるには、この三つを養うことが重要になると思います。
村上 その柱は、ぼくももちろん同感です。ただ、いろいろな環境の子どもたちがいるので、すべての子どもたちに共通のアンカーを持たせるのは、難しい気がしますね。
ぼくの出身地の長崎県佐世保市には、大きな造船所があります。昔は、地元の工業高校を卒業すると、多くの生徒がその造船所に就職していったんです。
いまはITとバイオの時代といわれていて、政府は雇用100万人と言っていますが、調べてみると、バイオビジネスは優秀な研究者が100人とその下に助手がいれば、ほかにはもういらない。
そういった職業環境のなかで、すべての子どもたちに「これからはITとバイオだ」と言うのはどうかと思います。ではどうすればいいか。いまの子どもたちのなかにも、例えば造船所に入って溶接をしてみたいという子はいるはずです。溶接が好きな子は、時代がITやバイオだろうと溶接工になれば、そっちのほうがはるかにいいんじゃないか。好奇心とか自分の興味というものを中心に据えて、子どもたちに職業を考えてほしいと思ったわけです。 |
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