ベネッセ教育総合研究所
愛知県小牧市立小牧中学校
小牧中学校
 小牧市は名古屋空港を抱える名古屋市北郊の都市。1998年に完成した小牧中学校の新校舎には最新設備が備えられ、コンピュータは、専用室のほか各教室に1台ずつ置かれるなどして校内に80台近く配備。教育活動、職員間のコミュニケーションに積極的に活用しているほか、ホームページ(マキネット)を通した保護者への発信も盛ん。学校支援ボランティアの活用等で地域との連携も進み、いちはやく「開かれた学校」を実現している。
〒485-0046
愛知県小牧市堀の内4-30
TEL  0568-77-6321
FAX  0568-75-8295
マキネット
生徒数/707人、
学級数/22学級(特学2含む)、
教員数/45人
野々部智校長
野々部智校長
PAGE 4/7 前ページ次ページ


IT教材を特別視せず、柔軟に授業に取り入れる
小牧中学校は、授業記録の共有などに積極的にコンピュータを活用している「IT先進校」だ。先生、生徒ともにコンピュータを使うことに抵抗がない小牧中学校では、どのようにIT教材をとらえ、どのように授業に活用しているのかを探った。
写真
▲写真1 先生のパソコンの画面をプロジェクターで示しながらの説明。
「ここはどうなるか、だれか前へ出て示してみて」という指示も


授業実践
メリハリの利いた授業展開で
生徒の興味を引きつける


 参観したのは、1年生の理科の宮腰満枝先生の授業。今回の授業は1学期に学習した「光の世界」の発展学習だ。授業は一人に一台のパソコンがあるコンピュータ室で行われた。
(1)導入・動機づけ
 まず先生は、自分の手元のパソコンで授業支援ソフト「@発見島」の理科コンテンツ「光のブラックボックス」()を起動させ、プロジェクターを使って前方のスクリーンに映す。画面には鏡、凸レンズ、凹レンズが用意されている。画面の「光源」をクリックすると、3本の色違いの光線が走る。レンズや鏡によって光がどのように屈折し反射するのかシミュレーションができる仕組みだ。
注 @発見島 ネットワーク型の教科学習ソフトで、論理的な見方・考え方を育てるための試行錯誤シミュレーション型教材、資料を読み取る力を育てるデータベース型教材などのラインナップがある。「光のブラックボックス」は、光の屈折と反射をシミュレーションを通して学ぶ。

 ここで先生は問いかける。
 「ここに凸レンズや凹レンズを置いたら光はどう進むと思う?」
 一拍おいて、実際に画面に凸レンズや凹レンズを置いてみる。変化する光の道筋に生徒たちは「おおーっ!」と歓声をあげる。

(2)基本問題(個別作業)
 先生がレンズを次々に置いて光の道筋を操るのを見て、生徒たちは自分で操作してみたくてうずうずしてきている。そこをすかさず、「では、自分で自由に動かしてみて」と先生の声。
 ここでやっと、生徒たちのパソコンが「光のブラックボックス」の画面に変わる。生徒は自分で鏡、凸レンズ、凹レンズを自由に動かしてみる。画面上の光の道筋が変わり、複雑な模様を描くたびに感嘆の声があがる。3分程度経ったところで、先生の終わりの合図とともに、生徒のパソコンの画面は終了。生徒からは「もっとやりたい!」の声。

(3)応用問題(一斉授業→個別作業)
 次に先生がプロジェクターで説明を始めたのは、光の道筋を考える応用問題。画面の左がブラックボックスになっており、光を発射してその道筋を見ることで、ブラックボックスの中に隠れている鏡や凸レンズ、凹レンズの位置や種類を推測。同じ配置を右側の枠に作っていく(写真2)。
写真
▲写真2 「光のブラックボックス」の画面。
アイテムをさまざまに動かして複雑な光の道筋をつくってみる
 今度も、まず先生と生徒が前方のプロジェクターで一緒に問題を考え、やり方がわかってきたところで、生徒は自分の目の前のパソコンで挑戦していく。
写真
▲写真3 光の道筋を考える応用問題。
右側でさまざまなアイテムを試しに置いてみることで
左の四角のブラックボックス部分に
どんなアイテムが置かれているかを考える
(4)発展的学習
 最後は、先生のオリジナル問題をプロジェクターで見ながら一緒に考える集団作業だ。指名された生徒が前に出て、鏡やレンズを選ぶ。ここで先生から全員へ問いかける。
 「この場合はこのレンズだと思った人、どうしてそう思った?」
 一瞬言葉に詰まって「なんとなく…」と口ごもる生徒たち。
 「光の1本1本の進み方に注目して」と言う先生。
 「赤の光の位置が逆になっているから」
 「光が分かれて広がっているから」
 先生は、再び「どうしてそう思う?」と問いかける。
 「こういう理由でここにこのレンズや鏡を置く、というふうに考えられた人は、光の進み方が理解できていますよ」そう言って先生は授業を終えた。
 全員が一斉にプロジェクターを見ながら考える時間と、生徒が一人でパソコンの画面に向かい自由に操作する時間、両者のメリハリが利いている。パソコンをもっと使いたいと思う生徒には少し物足りなさそうだったが、集中力は途切れなかった。


PAGE 4/7 前ページ次ページ
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse