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生徒が自分で予測を立て分析していくことが大切
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この大原先生の授業の進め方には、生徒の理科的な力を育むためのさまざまな工夫がちりばめられている。
まず、高さや質量以外に、木片を動かすエネルギーにはどんなものがあるか、生徒が自分で考えて予測する機会を設けている。そして実験は、その生徒の予測を検証するために行われる。もちろん、小球の大きさや速度などの条件を変えることによって、予測通りに木片が動く距離が変わる(つまりエネルギーの大きさが変わる)場合もあれば、予測が外れて木片が動く距離が変わらない場合もある。しかし予測が外れることもまた、生徒にとっては「なぜエネルギーの大きさは変わらなかったんだろう」と考えを深める契機となる。
こうして見ていくと、先生の授業実践には、(1)実験者が自分で予測を立て、(2)実験方法を考え、(3)実験を行い、(4)その結果をデータにとって分析するという科学実験に必要とされるエッセンスが、すべて盛り込まれている。
さらに先生は、実験にあたって次のような注意事項を生徒たちに話す。
「小球の大きさだけではなく、転がす高さも変えてしまうと、木片が動いたときに、それが小球の大きさの影響か、転がす高さの影響か見分けがつかなくなるよね。では、どうすればいいと思う?」「小球の大きさを変えた実験をするときには、ほかの実験条件はすべて同じにしておけばいい」
実験を行う際には、確かめたい条件を除いて、ほかの実験条件はすべて同一にしなくてはいけないことを、生徒は体験的に習得していくのである。
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