特集 「考える力」を引き出す授業―理数教科からのアプローチ―

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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科学的な感性とものの見方・考え方を育む

 ある現象を目にしたとき、ある人は何の疑問も持たず、ある人は「なぜだろう」と立ち止まる。この「なぜだろう」のなかに科学的に探究する価値を見いだし、解決の見通しを持つ力が「科学的な感性」であるという。附属長岡中学校の定義でいえば、「学習対象と自分とのかかわりを感覚と知覚によって把握し、そこに科学的に探究する価値を見いだし、追究していこうとする能力」だ。また、解決の見通しに沿って推論し、導き出された仮説を分析的・総合的に検証していく力が「科学的なものの見方・考え方」である。附属長岡中学校の定義する「問題の解決を図るための分析的、総合的な思考力」だ。
 これらの力を伸ばすため、附属長岡中学校では、2003年度から05年度まで文部科学省の研究開発学校指定を受けていることを活用して、学習指導要領に縛られない「科学/技術科」「サイエンスコース」といった教科や選択制のコース学習を新設。さらに数学科・理科の授業時数の増加も行った。だが、附属長岡中学校の取り組みがユニークなのは、理数系教科のみならず、全教科で「感性」や「科学的なものの見方・考え方」を働かせる授業を展開していることだ。
 「これまで、文系教科では、科学的なアプローチはあまり意識されてきませんでした。例えば、中世から近世に移行する時期に、なぜ人びとの暮らしが大きく変わったのか、生徒に『なぜ』という疑問を投げかけ、解明する授業はほとんど行われていません。しかし科学的思考力を育成するには、今後は文系教科でもこうした授業が重要になるでしょう」(田村裕校長)


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