では、具体的にどんな取り組みが行われているのか。情報教育担当の工藤歩先生の3年生選択技術「学校のCMをつくる」授業を見学した(次ページ参照)。
各自がパソコンに向かい、先生の指示に従って動画ソフトを自在に操りながら、CMをつくっていく。目を引いたのは、作成したあと、生徒たちが互いの作品を見せ合って、コメントを寄せていたことだ。
「CM作成自体は04年度から取り組んでいますが、ほかの人の作品を見てコメントするのは、05年度から始めました。授業では、動画ソフトの扱い方などスキル面での指導は必要最小限に抑えて、生徒が工夫して作業する時間を多めにしています。また、友だちからのアドバイスは、人間関係づくりにもつながるほか、次の作品に生かせる部分もあると思います」(工藤先生)
「スクールイントラパック」を使えば、お互いの作品の閲覧やコメントの作成が容易にできる。そして、生徒同士のやりとりは、研究目標の一つである「生徒同士のかかわり合いのなかから、自分の考えや主張を自信を持って相手に伝えられる生徒を育成する」につながるものでもある。
こうした授業に参加し、支えているのがITサポーターだ。
「30人の生徒を1人で相手にしていると、トラブルが発生したとき、それにかかりきりになってしまい、ほかの生徒にまったく手が回らなくなってしまいがちです。その点、サポーターの方がいるとフォローしてもらえるので安心ですね。また、動画編集については私自身の知識や技術も完璧ではありませんから、その点でも助かっています」(工藤先生)
そのほか、例えば美術科ではパソコンの描画ソフトでデザインを行うなど(4ページ参照)、パソコンを使った授業は各教科でも行われている。
04年度には、山形市のテレビ会議システムを利用して、2年生の社会「原爆と平和への願い」の学習で、山形一中と長崎を結び、子どもたちが被爆者と直接話をする授業が行われた(5ページ参照)。
「ハード面ではすでに学校に整備されているものを使って実施することができました。このような試みも発展させて、コミュニケーション能力の育成に役立てていきたいですね」(尾形先生)
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