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「学習カード」が教師への信頼感を生む
では、生徒の意見を授業に生かし、学習意欲を高めるために、具体的に何が行われているのか。まず、「
学習カード
」の取り組みから見ていこう。
「学習カード」とは、授業の最後に生徒が今日の授業の「理解度」と「満足感」に関する評価を記入するものだ(
図1
)。「継続」という観点から、次の4点に留意して作成された。
・生徒が書くのに時間がかからない
・教師が見るのに時間がかからない
・授業に対する感想など、生徒が自由な意見を書く欄をつくる
・全教科共通で使えるものにする
図1 学習カード
カードは単元ごとに用意し、毎時間記入して教師に提出。教師は必要に応じてコメントを記入し、次の授業が始まるときに返す
「学習カード」のメリットとして大きく次の二つが挙げられる。
1.授業改善にすぐ生かせる
学習内容を「すぐに理解できる生徒」と「ゆっくり理解する生徒」の意識分析がしやすい。また、授業の問題点も生徒が指摘することで、次のクラスの授業での指導法の改善にすぐに生かすことができる。
「例えば、3年生の公民の授業で、『経済とは何か』を実感させるため、自分が生まれてから今までにかかった金額を計算させたのですが、最初に授業を行ったクラスで、『計算に時間がかかる』という意見が多く見られたのです。計算力をつけることが目的ではないので、ほかのクラスでは、電卓を用意して使わせることで、この満足阻害要因を取り除くことができました(
写真1
)」(研究主任の飯田誠先生)
写真1
ほかのクラスの「計算に時間がかかる」という声を取り入れ、電卓を用意(3年生の社会科)
2.教師への信頼感醸成
教師が見るだけの一方通行ではなく、教師がコメントを書いて返すなど教師と生徒とのかかわりを意図的に持つようにしたため、生徒の教師に対する信頼感がアップした。これは、04年度に実施された「学習意識調査」(
注
)の結果、「学校の先生は自分のことを認めてくれていると思う」生徒の割合が、全国平均では61.0%なのに対し、葛生中学校では1年生で80.7%、2年生で82.8%と、ともに大きく上回っていることからも明らかになった。
「ここまで大きな成果が出るとは思っていなかったので、びっくりしましたし、励みにもなりました」(飯田先生)
注
ベネッセコーポレーションの総合学力調査の一部
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