特集 学校力を生み出す学校評価

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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1回目の学校評価を受け夏休みに軌道修正

 石井中学校のPDCAの流れは次の通りだ。まず、4月下旬に年度目標と具体策を「企画書」(図2)にまとめる。校長や教頭は学校全体、学年主任は学年全体、担任はクラス運営など、全教師が担任や校務分掌によって最低一つの企画書を作成する。作成期限を新年度開始1か月後とするのは、その間に新たに受け持つ生徒の様子を把握するためだ。
  そして、6月下旬から7月上旬に、1回目の学校評価を実施する。保護者・地域住民・生徒・教師を対象に、学校生活や授業、学級、行事などへの意識を選択式で質問する。地域住民に限っては、「生徒を見てどう思うか」「教育の取り組みや教職員の姿勢をどう思うか」といった自由記述式だ。現在、約150人の住民に回答を依頼している。
  教師は夏休み中に学年ごとに回答を集計し、1学期の成果や課題を分析。再び企画書にまとめて、学校全体で検討する。岩堂校長は1回目の学校評価の意義を次のように話す。
  「1学期末に評価を行うことで、夏休み中に分析の時間を十分にとることができます。当初の企画をここで軌道修正するのとしないのとでは、取り組みの成果に大きな違いが生じます」
  更に、年度当初の意欲や緊張感を持続させるためにも、中間評価があることは教師にとってよい刺激になっていると、地域協働部長を務める堀井博司先生は強調する。
  「クラスによって結果にさまざまな差が生じるので、教師が自分の方針を見直すのに格好の材料となっています。また、各教師の得意・不得意な分野がはっきりと数値化されるため、教師間で『ここは、この先生を手本にしよう』といった意識が働くようです」
  企画書に提示される改善案は、実に具体的だ。例えば、石井中学校は05年度から木曜日6限目に国語・数学・英語の基礎学習を徹底する「基礎・基本の時間」という習熟度別の少人数指導を導入した。教師にとっては取り組みは支障なく進んでいるという意識だったが、意外にもアンケートでの生徒の評価は低かった。その理由として「少人数だけど、先生が一人に付きっきりになるため、すぐに質問できない」といった声が挙がった。そこで2学期からは、保護者や地域住民、大学生にボランティアで参加してもらい、生徒が質問しやすい環境を整えた。一方、「学習のしかたがよくわからない、評価の仕組みがわからない」という声に対しては、説明書(石井中版シラバス)を作成し、生徒や保護者に配付して、説明する対策を講じている
▼図2 年3回作成する企画書 クリックすると拡大します
図1
企画書には1学期間の目標と実践計画がまとめられている。3項目が盛り込まれていれば、書式は自由。教科担当、校務分掌ごとにA4用紙1枚分を作成する

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