特集 コミュニケーションが生まれる授業づくり
千葉県
私立麗澤中学・高校

1935年、前身の道徳科学専攻塾が開塾。51年に麗澤高等学校と改称され、02年に麗澤中学校が開校した。道徳教育に力を注ぐ一方、03年度に全教科の基本技術として言語技術教育を導入し、04年度から文部科学省の研究開発校に指定される。

※以下、中学校のデータ

竹政幸雄

▲校長 竹政幸雄先生

生徒数◎334人
学級数◎9学級
〒277-8686
千葉県柏市光ヶ丘2-1-1
TEL 04-7173-3700
FAX 04-7173-3716
http://www.hs.reitaku.jp/


VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例3】論理的な思考力・表現力の育成

「言語技術科」で育てる論理的コミュニケーション力

千葉県 私立麗澤(れいたく)中学・高校

麗澤中学・高校が導入した「言語技術科」は、「読む・聴く・話す・書く」能力を総合的に育てる教科だ。導入後、生徒に論理的な思考力が芽生え、根拠を提示する建設的なコミュニケーションが生まれた。その成果は英語や国語、日常生活にも波及している。

英語教育の限界を感じ「言語技術科」をスタート

 麗澤中学・高校では、「言語技術科」という学校独自の教科を通じて生徒のコミュニケーション能力を育てている。この教科は、国語とは別に、「読む・聴く・話す・書く」能力を総合的に育てる教科だ。2003年度に導入し、今では麗澤中学・高校の学びの中核として欠かせない教科になっている。
  この教科を導入した背景には二つの狙いがあった。まず一つは、国際化に対応した論理的なコミュニケーション力を身に付けることだ。麗澤中学・高校では近年、グローバル化に対応した英語教育に力を入れてきた。ネイティブスピーカーと日本人教師のチームティーチングを展開し、ディベートやスキット(寸劇)を多用したオーラル・コミュニケーションの指導に特に重点を置く。しかし、自身も英語教師として指導に携わる竹政幸雄校長は、そうした英語教育に限界を感じたと言う。
  「学んだ単語や文法を使って話したり書いたりできても、話や文章の筋道が通っておらず、突然、論理が飛躍したりする生徒が見られました。和文と英文の文章の組み立て方が異なるのに加え、日本語で論理的に考える力が弱いのではないかと感じていました」
  英語をはじめとする欧米の言語では、「最初に結論を示す」「全体から部分へと展開する」「理由や根拠を必ず述べる」といったルールがはっきりしている。論理性を重んじる「パラグラフ・ライティング」の技能が重視されるわけだが、日本の子どもにはそうした下地がない。その結果、日本語をそのまま英文に置き換えようとしてしまうため、意味が通らなくなっていたと竹政校長は分析した。「まずは日本語で、パラグラフ・ライティングを身につけさせる必要がある」と痛感したという。
  もう一つの狙いは、麗澤中学・高校が開校以来重視する道徳的な教育にかかわることだ。感情や思考を言葉に表せなければ、他者とのコミュニケーションが成立せずにトラブルになってしまう。麗澤中学・高校の生徒の中にも、自分の気持ちをうまく言葉にできず、些細なことで衝突してしまう傾向が見られた。「自分の内面を言葉で伝える能力を育てたい」と竹政校長は感じていた。
  「自分の考えを言葉で表せられれば、行動の指針が明確になりますし、言語のスキルが身につけば、建設的なコミュニケーションができる生徒を育てられるはずだと考えました」
  こうした狙いから、(有)つくば言語技術教育研究所()の三森ゆりか所長に協力を依頼し、03年度に言語技術科の導入を決めた。04年度には文部科学省より研究開発校の指定を受けている。
:(有)つくば言語技術教育研究所は言語技術教育の研究・開発、教室の運営、研修、講習などを行う民間の研究所。
http://members.jcom.home.ne.jp/lait/index.htm

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