教育現場の挑戦 小中連携で変わる中学校教育
広島県
府中市立上下中学校

広島県東北部の山間に位置する府中市上下地区に立地。自己実現できる実践力を持つ生徒の育成に力を入れる。開かれた学校を目指し、ボランティア活動や「愛の声かけ運動」も展開。

高浦一博

▲校長 高浦一博先生

生徒数 160人
学級数 7学級
所在地 〒729-3431
広島県府中市上下町上下915
TEL 0847-62-2161
FAX 0847-62-2160


VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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[実践事例]

広島県 府中市立上下(じょうげ)中学校

授業の相互乗り入れを軸に小学校との連携を深める

実践のポイント
1 教科指導・進路指導・生徒指導の3部会を設置して全員参加で議論を行う
2 授業や研修会へ小中教師が互いに参加し合うことで相互理解を深める
3 小中一貫教育を視野に、9年間を見通したカリキュラムづくりを進める

小中一貫教育を視野に入れた連携事業をスタート

 「Where are you from?」
  「I'm from Italy.」
  小学6年生の児童を前に、2人の教師が英語でインタビュー・ゲームを実演してみせる。1人は非常勤講師、もう1人は中学校の英語教師だ。小中連携事業の一環として上下中学校が2006年度から実施する英語の「乗り入れ授業」の1コマである(写真)。
写真1  写真2
写真 上下南小学校における英語の乗り入れ授業の1コマ。上下中学校区の小学校ではラップやフォニックスを多用した「体で覚える」英語活動を展開。この日は担任、非常勤講師、上下中学校の英語教師の3名で、外国人へのインタビューの練習を行った
  上下中学校では、週1回、英語教師が学区内の二つの小学校の英語活動に参加し、授業をサポートしている。小学校の英語活動の方法や内容を把握し、中学校での学びにスムーズに接続することが目的だ。小学校で授業を持つ錦織郁朗先生は「小学校の英語活動は、ゲームやスキットを通して英語を体で覚えることを重視しています。小学生に教えることで、ジェスチャーを交えながら表情豊かに語りかけることの重要性を再認識しました」と語る。
  上下中学校と上下北小学校・上下南小学校が小中連携事業に乗り出したのは、04年度のこと。その前年に府中市では08年度から市内のすべての小・中学校で小中一貫教育を導入することが決まり、08年度まで、すべての学区ごとに小中連携の取り組みを模索することになった。
  しかし、03年度は旧上下町と府中市との合併を間近に控え、事務的な懸案が山積みだった。その上、04年度から小中連携が始まれば、小学校への乗り入れ授業など教師の負担が増えるのは明らかだった。そうした状況の中、教師が前向きに取り組むためには、「まず小中連携の必要性を校内に浸透させることが重要だった」と高浦一博校長は振り返る。
  「学校を取り巻くさまざまな課題を解決するには、小学校との連携が欠かせないことは、かねてから強く感じていました。しかし、一度に多くの取り組みを始めたのでは先生方の負担になるだけです。まずはできることから始めて、先生方が『やってよかった』と結果的に思えるような取り組みにしたいと考えました」

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