教育現場の挑戦 小中連携で変わる中学校教育

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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体育の授業を通して中学校の生活指導を伝える

 04年4月、上下中学校と上下北・上下南小学校は、各校の校長・教頭のほか、2名の職員(教務主任と生徒指導主事)からなる「上下町小中一貫教育連絡協議会」を発足。月1回のペースで具体的な取り組みについての検討を始めた。
  まず実行したのは、体育の乗り入れ授業だ。府中市学童陸上競技記録会を控えた小学校側から「教科の視点から専門的なアドバイスをしてほしい」と打診を受けたのだ。体育担当の佐々木忠則教頭は、この申し入れを積極的に受け止めた。
  「発達段階が全く違う児童に対してどのように教えればよいのか、45分、50分という授業時間の違いをどのように調整するのか、乗り入れ授業前日は夜遅くまで話し合いました。また、せっかくの機会ですから、授業を通して身だしなみや挨拶など中学校で求められる生活態度を身に付けさせたいと思いました」(佐々木教頭)
  こうした意識を持って臨んだ中学校教師による体育の授業は、「生活態度がしっかりした」「きちんと挨拶ができるようになった」など、小学校教師にも好評だった。
  「その後の小中連携を円滑に進める上でも、最初に生活指導の機会を持てたことは大きかったと思います」(佐々木教頭)
  同年の夏休みには「部活動1日体験会」が実施され、両小学校の6年生全員が参加した。小中連携を図ると共に、部活動の楽しさを体験させることで中学校への期待を膨らませるためだ。
  こうして、より多くの教師が参加する取り組みが増える過程で、小中連携の意義が浸透していった。

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