教育現場の挑戦 小中連携で変わる中学校教育

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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研究会や授業の日程をすべて公開し小中教師が自由に参加

 小中間の相互理解を深めるための交流も盛んに行われるようになった。その一つが「かけ橋の日」。小・中学校のすべての教師が年1回、小学校は中学校に、中学校は小学校に訪問して、児童・生徒と一緒に授業やさまざまな交流活動をする
  更に、こうした取り組みは、研修会や授業の相互公開といった形で日常的にも行われている。小・中学校がそれぞれ校内で実施している研修会の日程や教科の時間割を公開し、互いに自由に参加できるようにしたのである。それまでは、各教科とも互いにどのような指導をしているのか、ほとんど知らないまま授業を行っていた。授業を見学し合い、研修会に参加し合うことで小中間の教育のつながりを意識できるようになってきた。
  中でも、大きな成果が上がりつつあるのが英語だ。
  「これまで、中学校の英語科では、ちょっとした日常会話であっても、生徒はまだ習っていないという前提で教えていました。しかし、実際には小学校でラップやスキットの練習などを通して、ほとんどの児童が基本的な挨拶や自己紹介をマスターしています。それなら、そこに費やしていた時間を、ほかの内容に振り向けたり、更に高いハードルを設けたりすることもできるはず。今後、詳しく分析してカリキュラムに反映させていきたいです」(錦織先生)
  一方、上下中学校の授業を参観した上下南小学校6年担任(英語活動担当)の戸羽章江先生は、中3生のペアワークを見て「3年生にもなると、恥ずかしがって素直に取り組まない生徒もいるのではないかという不安もありましたが、実際には生徒みんなが意欲を持って取り組んでいました。小学校で養ってきた生徒の興味関心を中学校で更に伸ばしていただいていることがわかり安心しました」と感想を語る。
  指導の手がかりをつかむだけではなく、しっかりと伸びている生徒の姿を示すことで小学校との信頼感も醸成されているのである。

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