第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例2]奈良県 奈良市立都跡中学校
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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保護者への情報発信で家庭の教育力を引き出す

 都跡中学校ではまた、学力調査の結果を保護者へきちんと伝えることにも力を入れている。
  「保護者は、ほかの学校や全国と比べた場合の子どもの成績について、なかなか知る機会がありません。また、高校受験を意識する2年生ごろから、『ほかの学校の子はどれくらい勉強しているのか』『みんな塾には通っているのか』といった質問が増えてきます。学力調査の結果を伝えることで、そうした疑問に応えると同時に、家庭学習の動機付けなどにもつなげていけるのではないかと考えています」(村尾先生)
  そうした目的を踏まえ、学力調査の結果の概要はPTAだより(図2)で公表し、全国平均と比較して特に課題が見られた項目もきちんと伝えている。その際は単に結果だけを伝えるのではなく、授業の受け方や家庭学習のアドバイスも併せて掲載した。
  「今後も家庭との連携を強め、小中の協力関係を大切にしていきたい。既に分析結果の共有や、小中の教師の交流、小6生による中学校の体験授業などによって協力関係の下地はできたと思います。教師の相互理解が進み、気軽に意見を交わせる雰囲気を築いたことで、今後の協力関係につながる大きな一歩が踏み出せたと思っています」(加藤校長)
  表面的な課題を追うのではなく、その要因を小中の接続問題から捉えて、解決に向けたアプローチを試みる。都跡中学校の取り組みは、今後の小中連携の一つの在り方を示唆しているといえるだろう。
▼図2 学力調査の結果を伝えるPTAだより

図2
学力調査の結果をPTAだよりに掲載して、保護者に発信。結果の横には「学力向上の秘訣」として家庭学習のアドバイスも添えている

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