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全国との比較で生徒の実態を細かくつかむ
レインボーチャートの定着によって、生徒の実態把握と評価は充実してきたが、一つの大きな観点が抜けていたと、烏田勝信校長は語る。
「それは、全国的に見た生徒の学力の相対的な位置です。
小規模校ほど『井の中の蛙』になりがちですから、毎年、学力調査と学習意識調査を行い、常に他地域との相対的な位置を把握する
ように努めています」
赤来中学校の周辺には学習塾もなく、大半の生徒にとっての学びの場は学校と家庭だけになる。そのため、教師は「校内で上位だからといって安心してはいけない」と、常に話しているという。
また、
学力調査の結果とレインボーチャートの評価を比較することで、自校の評価の妥当性を確かめる材料にしている
点も大きな特徴といえるだろう(
図3
)。
▼図3 学力調査を組み込んだPDCA
学力調査や学習意識調査、日々の観察などによって生徒の実態を把握し、指導の焦点を絞った上でレインボーチャートによって評価する。また、そこから見えた課題に対して指導の工夫・改善を再び行う
「レインボーチャートでは『知識・理解』『思考力・判断力』『応用力・課題解決能力』などが課題に挙がりましたが、05年度の学力調査でも同様の結果が表れ、私たちの評価の方向性が確かめられました。一方、教師が実感していた『関心・意欲・態度』の高さが、学力調査の結果にも表れており、大きな自信につながりました」(森山先生)
学力調査の結果は、主に研究主任が分析して教師全員で共有し、05年度には家庭学習に用いられる「自学ノート」の導入や、授業の見直しをはじめ、さまざまな取り組みに活用された。このように、レインボーチャートを学力調査で補完することで、常に校内の評価システムを見直し、指導の工夫、改善につなげている。今後は、学習意識調査との相関関係の分析にも力を入れる方針だ。
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