第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例3]島根県 飯南町立赤来中学校

School Data

島根県 飯南町立赤来中学校

1971年開校。島根県と広島県の県境にある高原地域に立地し、校区の約9割を山林が占める。98年度に文部科学省「中高一貫教育実践研究事業推進校」の指定を受け、現在も研究中。02年度から3年間は同省学力向上フロンティアスクールにも指定され、レインボーチャートを生かした取り組みをはじめとする、さまざまな学力向上策を打ち出した。

烏田勝信

校長 烏田勝信先生

児童数: 99人

学級数: 4学級

TEL: 0854-76-2164

FAX: 0854-76-3163

所在地: 〒690-3513
島根県飯石郡飯南町下赤名1938

URL: http://www.town.akagi.
shimane.jp/akagichu/

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例 3】

島根県 飯南町立赤来(あかぎ)中学校

校内独自の評価システムを学力調査で検証する

赤来中学校は、「レインボーチャート」という
独自の評価システムを指導の中心に据え、外部の学力調査・
学習意識調査を加えることで、多面的な実態把握を行っている。
調査の結果は中高連携にも生かすなど、先進的な取り組みを行っている。

七つの学力を測る「レインボーチャート」を開発

 山村地域に立地する赤来中学校は、生徒数100人弱の小規模校だ。「レインボーチャート」(図1)という赤来中学校独自の評価システムを中心に、学力調査と併せて指導の改善に活用している。
  レインボーチャートは、各教科の学力を七つの観点で評価し、レーダーチャートで表すシステムだ。赤来中学校の目指す生徒像を定め、それに到達するために必要な力を七つの観点で捉え(図2)、観点別に評価項目を振り分けており、学習指導要領で定められた4観点ともリンクさせている。2002年度に文部科学省の「学力向上フロンティアスクール」に指定されたのを機に開発し、05年度からは通知表の学習の記録欄には5段階評価の評定を載せ、評定や基準などの詳細はレインボーチャートに記載して渡している。チャートは各教科で1枚ずつ、学期ごとに作られる。
  レインボーチャートの最大の利点は、生徒や保護者が学力の実態を把握しやすいことだ。グラフと数値によって「強み」「弱み」が一目で把握できる。各学期の変化がわかるように、評価は学期ごとに色を変えて表示しているので、学力推移も一目瞭然だ。
▼図1 レインボーチャート

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図1
05年度に作成されたレインボーチャートの例。(1)レーダーチャート、(2)数字で表した観点別の評価、(3)5段階評定に直した場合の評価、(4)生徒の振り返り、のスペースで構成されている
▼図2 3つの生徒像と7つの観点
図2
赤来中学校が目指す3つの生徒像と、具体的な7つの観点。各観点はレインボーチャートによって評価される(3r'sとは、読み・書き・計算のこと)
  更に、従来の通知表は「なぜそう評価されたのか」の根拠がわかりづらかったが、レインボーチャートではその点も明瞭だ。「期末テスト」「ワークシート」「小テスト」など、評価の根拠となる項目の一覧があり、それぞれの得点も明記されるからだ。研究主任の森山雪美先生は、レインボーチャートは生徒にとって振り返りの材料となり、学習意欲を引き出すのにも効果的と話す。
  「評価が上がった場合でも、『課題レポートの内容がよかったからだよ。次は宿題の提出をきっちりしようか』などと、明確な根拠を示して学習の方向性を指導できます。具体的な指導が『よし、頑張ろう』という子どもの意欲を引き出しているようです」
  保護者へのアンケートでも、「子どもと勉強について話す際の材料になる」「提出物や忘れ物、ノートなど、子どもの学校での様子がよくわかる」というように、高い評価が寄せられている(図4)。
●05年度の学力調査の受検状況
実施主体/ 赤来中学校
実施時期/ 5月
対象学年/ 1~3年生
対象教科/ 国・数・英・理・社・学習意識調査(1年生は英語を除く)

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