第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例4]埼玉県 ふじみ野市立福岡中学校

School Data

埼玉県 ふじみ野市立福岡中学校

1947年開校。昭和30年代に完成した「東洋一のマンモス団地」と言われる上野台団地に隣接する。2002年度から3年間文部科学省の「学力向上フロンティアスクール」に指定され、指導法と評価の一体化を研究。引き続き05年度から3年間、同省の「学力向上拠点形成事業」に指定されている。

矢島秀一

校長 矢島秀一先生

児童数: 603人

学級数: 18学級

TEL: 049-261-0142

FAX: 049-266-3106

所在地: 〒356-0017
埼玉県ふじみ野市上野台3-3-1

URL: http://www.fujimino.
ed.jp/fchu/

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例 4】

埼玉県 ふじみ野市立福岡中学校

生徒の弱点を把握し、学習指導を再構築する

「自宅学習」と「繰り返し学習」ができていない――。
学力調査の結果、二つの課題が明らかになった福岡中学校では、
基礎学力が不十分な生徒の底上げを通じて、
生徒全体に学習意欲を波及させる、新たな指導がスタートした。

学力調査で学習意欲の二極化が明らかに

 「生徒の実態がわかったときには、がく然としました。ある程度は予測していましたが、まさかこれほど悪いとは思いませんでした」
  2006年4月、05年度に実施した「総合学力調査」を分析した研究主任の山崎祐一先生は、その結果を手にして衝撃を受けた。05年度の2年生の「授業で習ったことをその日に復習する」が18.2%と、全国平均値の42.1%を大幅に下回る数値だったからだ。
  福岡中学校は05年度から3年間、文部科学省「学力向上拠点形成事業」の指定を受けている。この事業の06年度計画を立てるにあたり、福岡中学校がまず着手したのは、生徒の学習実態を明らかにすることだった。
  「04、05年度に学力調査を実施し、詳細なデータは得ていました。しかし、そのときはそれぞれの教師が担当教科のデータを参考にするだけで、学校全体としての課題の共有が不十分でした。そこで、06年度の指導計画の立案に向けて、校長、教頭を含めた研究プロジェクトを立ち上げ、もう一度データを分析し直したのです。その結果、本校の弱点が明確に見えてきました」(山崎先生)
  05年度の1年生と2年生(06年度の2年生と3年生)の調査結果を分析したところ、「パソコン・インターネットを利用する」「本や新聞を読む」「手伝いをする」などの項目については、概ね全国平均を上回っていた。しかし、「自宅学習習慣」や「繰り返し学習」については、全国平均と比較して大幅に落ち込んでいた。この傾向は、05年度の2年生に特にはっきりと表れていた。
  「『宿題をする』という項目の数値は決して低くなかったので、何か課題を出されればするが、自らは積極的に学習に向かいにくいという受け身的な学習姿勢が、本校の生徒たちの弱点ではないかと考えました。その上で、旧2年生の学習の実態を04年度と05年度で比較したところ、家庭学習をしない生徒は更にしなくなり、家庭学習をする生徒はますますするようになっていたのです。つまり、学習意欲の二極化が進んでいたのです」(山崎先生)
  教科学力の面では、数学では到達度が高い生徒と低い生徒の幅が大きく、理科と社会では全体的に到達度が低いことが判明した。
  「生徒たちのこうした実態はなんとなく感じていましたが、具体的な数値で裏付けられたのは、私たちにとって非常にインパクトがありました。調査結果で特に到達度が低かった単元については、きちんと教えることができていたかどうかを振り返ることもできました」(山崎先生)
●05年度の学力調査の受検状況
実施主体/ 福岡中学校
実施時期/ 4月
対象学年/ 1、2年生(全員)
対象教科/ 国・数・理・社・学習意識調査(1年生)
国・数・理・社・英・学習意識調査(2年生)

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