学びが深まるIT活用 スペシャルインタビュー 自己学習の「道具」としてのICT

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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個人学習用に使われる欧米の教科書

 ICT教育で使われる教科書や教材も、各国の教育事情を反映しています。日本の教科書は、フィンランドやアメリカ、イギリス、また同じアジア圏のシンガポールに比べても圧倒的に薄いです。特に、フィンランドの教科書は日本の教科書と比べて3~4倍の厚みがあり、巻末には説明資料としてCD・ROMが付いています(写真3)。
  なぜそれほど分厚いのかというと、子どもが1人で学習を進めることができるように、非常に丁寧に説明されているからです。授業では教科書とセットになっているワークブックを解かせて、つまずいたら教科書を参照させる。基本的に、子どもが自学自習することを前提にしてつくられているのです。
  逆に、日本の教科書は教師が指導する際の補助資料という考え方でつくられているため、自学自習の教材としては不十分です。日本ではワークブックといえば市販のものが中心で、主に家庭や塾で使います。その代わりに授業では、教師がプリントや教材を自作して教科書を補完する。こうした授業スタイルだからこそ、日本の教師には常に授業方法や教材の研究が求められているといえます。
写真3
写真3 フィンランドの教科書とワークブック。子どもたちは教科書を参照しながら、ワークブックに取り組む。日本の教科書と比べて、数倍の厚みがある

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