指導変革の軌跡 生徒の自律性を育てる取り組みで学校の「荒れ」に立ち向かう

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「学年朝の会」で生徒が生徒に呼びかける

 最初に着手したのは、学年集会の充実だった。八幡中学校の校舎の各階には、学年ごとに集まれるスペースがある。従来から不定期に学年別の生徒集会が開かれていたが、その内容は主に教師から生徒への「説教」だった。
  これを04年度から、学級指導担当者の発案により、毎週月曜の朝に定期的に行うようにし、名称も「学年朝の会」に改めたのだ。司会は、各学年の生徒会執行部員と、各学級の学級委員が担当。会の内容は、生徒から生徒への「呼びかけ」を中心とした(写真1)。「最近、掃除が不十分だという声が上がっている」「みんなで授業態度をもっと良くしよう」など、生徒自身の手によって学年の雰囲気を改善させようというわけだ。竹端先生は、生徒の様子を次のように話す。
  「話す内容が同じでも、教師ではなく、生徒が言う方が耳を傾けます。普段、落ち着きのない生徒も同じで、生徒同士で決めたことには従おうとする。そこに、活路を見いだしました。生徒会執行部員や学級委員には、クラスで人望のある生徒や、だれとでも話ができる生徒になってもらうなど、工夫もしています」

写真1
写真1 学年朝の会の様子。毎週月曜日の朝、定期的に行っている

  こうした中で盛り上がってきたのが、各種の「生活向上キャンペーン」だ(写真2、3)。生活向上キャンペーンとは、生活上のマナーや安全に対する意識を向上させるために、学級委員が企画・運営する活動で、月1回のペースで、毎回1~2週間ほど行う。
  「ダラダラと長期間やるよりも、短期間の方が生徒は集中します。また、回数を多くすることで、たくさんのことに関心を持ってほしいと考えています。例えば、06年度の2年生では『クラピカキャンペーン』を行いました。普段は担当していない教室を掃除することで、奉仕の意識を高めると共に、学年の横のつながりを強めることを狙った活動です。毎日の掃除にも熱心に取り組む生徒が見られるようになりました」(竹端先生)
  「下校キャンペーン」は、日没が早くなる10月に行った。各部の部長に下校時刻が遅くならないように呼びかけ、交通安全や不審人物などへの意識を高めるのが狙いだ。ほかにも、服装を整える「身だしなみキャンペーン」、休み時間に校歌を歌う「校歌キャンペーン」、ヘルメット着用を呼びかける「自転車キャンペーン」などが、生徒の発案で行われている。

写真2,3
写真2、3 廊下にはキャンペーンを告知するポスターが数多く貼られている

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