地域社会との連携も、生徒を大きく変えつつある。八幡中学校の校区には多くの卒業生が暮らし、元々地域とのつながりは弱くはなかった。ただ、荒れる学校を目の当たりにして、不信感を抱く住民も多かったという。そのイメージを取り除くことが目標の一つとなった。
「地域からの厳しい目は、『我が町の学校』という強い意識の裏返しだったと思います。生徒が抱える課題を解決するには、学校だけではなく、地域全体からのアプローチが欠かせません。そこで、地域社会の協力を得る方法を模索してきました」(奥井校長)
04年度に文部科学省のキャリア教育推進地域指定事業の対象校となったのを機に、以前から取り組んできた「生産労働体験学習」を発展させて、1年生は「ものづくり体験学習」、2年生は「職場体験学習」(写真4)、3年生は「ボランティア体験学習」と、全学年の生徒が地域社会に入って体験活動を実施することにした。
体験学習前には、受け入れ先で問題を起こさないかと心配したが、それは杞(き)憂だったと竹端先生は喜ぶ。
「普段は落ち着きのない生徒が嬉しそうに牛の世話をするなど、学校とは異なる表情を見せる場面もたびたび見られました。地域社会の持つ教育力を再認識しました」
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