特集 生徒が変わる「キャリア教育」

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 4/19 前ページ 次ページ

夢や目標は変わって当たり前 その根本を見つめさせる

 自分が将来したいことを考える際にも、生産者の経験が生きてきます。「あなたのしたこれがすごいね」と言われることで、「コツコツする仕事が向いている」「人と接することが得意」などと気づくからです。これが次の発想へとつながっていきます。
 ただし、中学段階での将来の目標は変わりますし、変わって当然です。それを非難するようなことだけは、決してしてはならないと思います。むしろ、その根っこにあるものは何か。例えば医者になりたいなら、奉仕的な感覚なのか、それとも科学的な分析に興味があるのか。そこを意識させていくことが大切です。自分はどういう人間で、何がしたいのか、その部分こそ中学生には考えてもらいたいですね。
 事業所が少ない地方の場合、職場体験といっても受け入れ先が限られてしまい、「この仕事しかないのか」と、むしろ閉塞感にさいなまれてしまうかもしれません。しかし、選択肢が少ない世界ほど、自分の価値は何かを考えることが重要になります。地元に残って親と一緒に暮らす、あるいは地元の文化を守っていく、という価値も当然あるでしょう。生きていくために必要な基本的なことを準備するのがキャリア教育だとすれば、職業に限らず、自分の価値の優先順位や生き方も考えていくべきだと思います。
 キャリア教育は、中学校単独では難しい面もあるはずです。本当はもっと予算も人も必要だと思います。NPOやハローワークなど、外部の資源を最大限に活用する発想が必要になるでしょう。その上で、一人前の人間を育てる教育活動として幅広く捉えて実践していただきたいと思います。 。

写真

   PAGE 4/19 前ページ 次ページ