特集 生徒が変わる「キャリア教育」

広島県  庄原市立庄原中学校

広島県 庄原市立庄原中学校

広島県北東部に位置し、中国山地の緑豊かな山々に囲まれている。旧庄原市内(2005年に1市6町が合併)の7つの中学校が統合して1968年に誕生した。生徒の家庭の多くは兼業農家。

校長●井上隆彰先生

児童数●527名

学級数●16学級(うち特別支援学級2)

所在地●〒727-0011 広島県庄原市東本町1-26-1

TEL●0824-72-2195

FAX●0824-72-2197

URL●http://www.city.shobara.
hiroshima.jp/kyouikugaku/
shobara-jh/top.asp

公開研究等の予定●2008年1月16日(水)に実施予定


井上隆彰

▲庄原市立庄原中学校校長

井上隆彰
Inoue Takaaki
小田源徳

▲庄原市立庄原中学校

小田源徳
Oda Motonori
主幹。校務総括・指導。社会科担当
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例2】

独自教科の「キャリア科」を設け 教科学習の見直しにも着手

広島県 庄原市立庄原中学校

庄原中学校は、キャリア教育の軸となる独自教科「キャリア科」を設置した。100か所近い事業所と連携しながら展開する職場体験学習や、教科の授業をキャリア教育の観点から見直すことにも取り組んでいる。

事業所と目的を共有して職場体験学習を進める

 庄原中学校は2005年度から3年間、文部科学省の研究開発学校の指定を受け、校区内の庄原市立庄原小学校と連携してキャリア教育を進めている。その最大の特徴は、独自の教科として「キャリア科」を設けたことだ。生徒一人ひとりのキャリア発達の支援を目指した教科で、文部科学省が提案したキャリア教育の4能力領域((1)人間関係形成能力、(2)情報活用能力、(3)将来設計能力、(4)意思決定能力)の育成を目標としている。小中9年間を通した教科で、年間授業時数は、中1と中3が35時間、中2は50時間を充てる。
 指導の軸となるのは、中1の職場訪問、中2の職場体験、中3の上級学校訪問だ。特に連続5日間で行う中2の職場体験では、小5~中1までの職場訪問を踏まえ、働く意義や社会的役割、働く人々の思いなど、さまざまな角度から職業について考える。
 「職場体験で重視するのは、個々の職業を知るのではなく、『ある職業を通して社会を知る』ことです。例えば、病院の仕事からは、高齢化や地域福祉、家族について視野を広げることができます。ただ『楽しかった』『きつかった』で終わらないよう、生徒に事前に仕事内容や体験学習に向けた心構えを指導します」
 こうした目標を達成するため、教師は事前に受け入れ先事業所をすべて訪問し、体験学習の意図を説明する。事業所の意向も詳細に聞き、ほかの事業所の取り組み例を紹介するなどして、5日間のプランを共に考える。受け入れ先は100か所近くで、病院や飲食店、小学校、保育所などさまざま。1か所当たり1~2名が5日間連続して仕事を体験する。
 「普段は目立たない生徒が『よく気がつく子ですね』と褒められたり、学校ではやんちゃな生徒が接客はうまかったりと、意外な発見があります。職場で褒めてもらうのは、生徒にとって大きな喜びですから、自信を持って、学校では見せない顔を見せるのです。また、生徒は自分も働くことで、親に共感できるようになります。『共通の話題ができ、親子の会話が増えた』と保護者からよく聞きます」(井上隆彰校長)

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