特集 生徒が変わる「キャリア教育」

島根県  大田市立仁摩中学校

島根県 大田市立仁摩中学校

島根県中央部の海沿いに位置。1992年から職場体験を始め、実績を積み重ねてきた。2004年には文部科学省のキャリア教育推進地域指定事業の実践協力校となり、06年には「キャリア教育文部科学大臣表彰」を受けた。

校長●佐々木友孝先生

児童数●119名

学級数●5学級(うち特別支援学級1)

所在地●〒699-2301 島根県大田市仁摩町仁万387-2

TEL●0854-88-2006

FAX●0854-88-3196

URL●http://nima.nima-cho.
ne.jp/‾nima-chu/


今口秀明

▲大田市立仁摩中学校

今口秀明
Imaguchi hideaki
進路指導主事。数学担当。
キャリア・コーディネーター
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例4】

2度の職場体験の反省を日々の授業見直しに生かす

島根県 大田(おおだ)市立仁摩(にま)中学校

小中高が1校ずつ設置されている旧仁摩町の特性を踏まえて、3校連携によるキャリア教育を模索してきた仁摩中学校。大規模な事業所が少ない地域ながら、工夫したキャリア教育を行っている。

中2、中3の職場体験をあえて同じ事業所で実施

 仁摩中学校が位置する旧仁摩町(現在は大田市に合併)は、2004年度に文部科学省のキャリア教育推進地域に指定された。町に小中高が1校ずつある地域ならではのまとまりの良さを考慮してのことだ。
 早速、小中高3校による「小中高キャリア教育推進委員会」が設置された。しかし、初めてのことだけに、手探りの状態から始まった。今口秀明先生は当時をこう振り返る。
 「小学校と高校は、それまで直接かかわることが少なく、『キャリア教育』の意味についても解釈が大きく違いました。そこで、小中高を通して、どのような子どもを育てたいのかという認識を共有するところから始めました」
 議論の結果、キャリア教育の目標は「社会に出て働ける人材、集団の中で通用する人材を育てる」と設定。中学校の役割は、「すべきことをきちんとする」という勤労観の基礎を育てる小学校と、具体的な職業選択を考える高校との橋渡し役と位置づけられた。
 これに基づき、仁摩中学校は年間計画を見直したが、課題となったのはキャリア教育の核となる職場体験だ。
 「既に1992年度から職場見学を行っていたので、受け入れ先の確保は比較的スムーズでした。ただ、大規模な事業所が少ない地域だけに『5日間連続では負担が大きい』という声が地元から寄せられたのです」(今口先生)
 同校は事業所側と折衝を重ね、5日間を2日と3日に分け、2年生と3年生の2回、原則、同じ事業所で職場体験を行うことにした。生徒は2年生の反省を3年生で生かせるようになり、事業所も「満足に挨拶できなかった子が1年で見違えるようになった」という具合に、生徒の成長を実感できるようになった。
 こうした効果がきちんと出るよう、事前・事後学習には力を入れる。特に3年生の事前学習では、商工会議所や農協、PTAなどで構成する「職場体験推進会議」のメンバーや「ジョブカフェしまね」などのスタッフが、生徒の小グループに加わり、生徒一人ひとりと前年の反省や今回の目標などを話し合う。

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