特集 つながる「保護者」と「学校」

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 13/26 前ページ 次ページ

保護者・生徒と一緒に編集し進路や集金ルールも示す

 『城中NAVI』が初めて配付されたのは、2005年度のことだ。04年度に学校事務の山田貢主査が他校の職員の有志と吹田市立片山小学校を視察し、同校が保護者の意見を採り入れて作成した学校案内『片小ナビ』を手にしたのがきっかけだった。
 「『学校と保護者が一緒につくる』というスタイルがまず面白いと思いました。保護者は自分の中学時代と今の中学校が同じだと思いがちですが、現実にはかなり違っています。また、学校も保護者の現状を思っているほどにはきちんと把握しているわけではありません。学校案内づくりを通して、双方の理解を深められたらと考えました」(山田主査)
 当時の校長に視察結果を報告したところ、「是非、つくろう」とゴーサインが出た。早速、05年度版作成に向けて、編集作業が始まった。
 コンセプトは、学校が一方的に押し付ける内容にはしないこと。保護者・生徒と一緒に編集を進め、学校のありのままの姿を知ってもらおうと試みた。誌面の原稿を教師が作成したあと、PTA役員に目を通してもらったが、校内では日常的に使われている「学活」「教育課程」などの言葉が保護者にはわかりにくいなど、学校にとっては意外な指摘を受けた。
 完成した第1号の中で、最も評価が高かったのは進路関係のページだった。
「以前は3年生になって初めて配っていた資料を、『城中NAVI』に掲載しました。3年間の進路指導の流れや卒業後の進路などについてですが、『入学したときから先のことが見えるのは助かる』という反響がありました。保護者が教育に高い関心を持っていることを改めて感じました」(山田主査)
 このほか、補助教材費や校外学習活動費など、毎月の学校徴収金の前年度実績を詳細に掲載したことも、保護者に好評だった。「どのような理由で、いくらお金がかかるのかをきちんと示すことで、集金時のトラブルを防止できているのではないかと思います」と山田主査は語る。


   PAGE 13/26 前ページ 次ページ