特集 つながる「保護者」と「学校」

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 17/26 前ページ 次ページ

一般の保護者が意見を寄せやすい組織づくり

 そんな状況を変えるきっかけとなったのが、2004年春のPTAの会合だった。PTAの広報委員がなかなか決まらない状況を受け、当時は広報委員長だった浅原氏が、「この際ですから、PTAの仕組みを見直しませんか」と切り出したのだ。
 「保護者と学校をつなぐはずのPTAが、当時は機能していませんでした。厚生、広報、教養、校外生活の四つの常任委員会に参加する委員が活動しているだけで、委員のなり手を探すのも一苦労だったのです」
 早速、PTAの全会員を対象にアンケートをとったところ、「PTA活動を考え直すべき」との回答が8割近くを占めた。それまで取り立てて意見を言わなかった多くの保護者も、従来のPTA活動には疑問を感じていたのだ。
 組織改革のポイントは、「全員参加型」の組織をいかにつくるかだった。学校、保護者の代表で議論を重ねた結果、同校は思い切った決断を下した。4つのPTA常任委員会のうち校外生活委員会(現・地域生活委員会)を除く3つを廃止し、各クラスを単位に学期に2回以上のペースで開催する学級PTAに機能を振り分けたのだ(図1)。
図1
 組織の改革と併せて、会議のスタイルも見直された。高山秀紀副校長は、その工夫を次のように説明する。  「例えば、学級PTAを平日に開く場合は、サラリーマン家庭に配慮し、夕方以降の時間にしています。また、全校一斉に『この日に来てほしい』といった呼びかけをするのではなく、実施日をクラスごとに決められるようにしました。保護者が集まりやすい日を選べるようにという配慮からです」
 学級PTAで出された意見は、各学級に3名いる学級委員が集約し、PTA全体の意思決定機関である実行委員会に報告される。参加意欲が高まり、議論は活性化した。
 「以前は、一般の保護者は委員から『協力してください』とお願いされるばかりでしたが、組織改革によって、だれにでも参加と発言の機会が設けられました。『したくないことは押しつけられない。でも、やりたいことは何でも提案できる』という形になったことで、参加意欲が高まったと感じています」(浅原氏)

   PAGE 17/26 前ページ 次ページ