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技術科で基礎を習得し、他教科で応用
教科指導でICT活用が進んでいる背景には、技術科の授業での2つの試みがある。それが生徒のスキルを向上させ、活用の機会を広げるのに役立っているのだ。
1つめは、パソコンの基礎的な操作など、生徒のICT活用力のベースをしっかり育成することだ。
「生徒の多くは小学時代からパソコンを使っていますが、ローマ字入力やファンクションキーの使い方などを体系的に教わってはいません。ここがしっかり身に付いていれば、学校行事や教科の学習などで役立ちますし、学校の外でも活用できます。工業高校の先生からも『正しいタイピングを中学段階で教えてほしい』と言われています」(技術担当・篠田隆先生)
授業では独自のプリントを使い、間違いやすい単語を繰り返し入力させるなど、タイピングから丁寧に指導する。教師が入力している手元の映像を生徒の机のディスプレイに映し出すといった工夫もしている(
写真1、2
)。
キーボードの操作の指導事例(2年生の技術科)
写真1
教師のパソコンの上に設置されたカメラで、キーボードを操作する様子を映すことができる
写真2
パソコンは1人1台使用。教師のパソコン画面や、カメラで撮影した画像などを送れるモニターは、2人に1台用意されている(3台のうち中央のもの)
もう1つは、
技術科が軸となって、学校行事での活用や他教科との連携を図っている
ことだ。
例えば、職場体験学習の成果を発表する機会があれば、担任教師と連絡を取り、技術の授業であらかじめプレゼンテーションソフトの使い方を指導しておく。また、美術科で4コママンガを描く課題があれば、絵をスキャナーで読み込んで加工する作業を取り入れる。更に、家庭科で使うレシピをパソコンで作成するといった指導を行っている。
こうした取り組みのアウトラインは、生徒との会話の中で見つかることもある。
「ただ技術の時間の中で与えられた課題に取り組むのではなく、実際の学習内容や活動と結び付けると、生徒はいつも以上に真剣に取り組みます。その意味でも、他教科の先生方とは普段のコミュニケーションを大切にしています」(篠田先生)
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