学びが深まるICT活用 基礎スキルの教育を徹底し教科の授業にも多彩に活用
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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ICTサポーターの提案で、ソフトの貸与制度を活用して授業をつくる

 ベネッセコーポレーションのICTサポーターとの連携もICT活用を広げる大きな力だ。例えば、実録e授業(P.4)で紹介した数学の学習ソフトは、同校では未購入のものだ。しかし、谷口先生から相談を受けたサポーターが、2か月間ソフトを貸与できる制度を活用することを提案した。借りてから実際に授業に使うまでの準備期間は1か月しかなかったが、きめ細かく連絡を取り合うことで実施にこぎつけた。
 ICTサポーターは、こうした提案のほか、授業の教材の準備や資料・授業案の作成、実際の授業での補助、異動してきた先生向けのパソコンルームの使い方の講習会、全教師対象の個人情報保護に関する講習会など、同校の実践を幅広く支えている。
 こうして教科での活用が進み、多くの生徒がICT活用スキルを身につけつつある同校では、今後更に活用のレベルを高めていきたいと考えている。それは単にICTを活用した授業が増えるということではない。
 「教科学習の中には、確かにICTを使うからこそ理解が深まる単元があります。しかし、生徒が単に『楽しかった』という感想を持つだけで終わらせてはいけません。学習効果として何をねらっているのかを見極め、必要に応じて取り入れていく姿勢が必要です」(田中先生)
 例えば、各教科の教師が、単元ごとに積み上げてきたICT活用の事例を年間指導案にしてまとめることも一つの方法だ。そうすることで、ICTを使えば効果的な学習単元に絞って活用したり、またICTが得意でない教師の活用へのハードルを低くしたりすることができる。
 ICT活用を各教科で進めてきた同校の試みは、今後も自然な形で広がり、深まっていくことだろう。
ICT活用の成功ポイント
Point 1 身につけたICTスキルが学習や生活で役立つ場面を
生活に即した場面でICTに取り組ませることで、実生活で使ってみようという気持ちが生まれ、スキルが定着する。
Point 2 ソフト貸与制度などを利用して活用の幅を広げる
学校にあるソフトウェア以外にも目を向けることで、新たな活用の可能性が広がる。

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